エピソード#1

サムスンの旅の始まり

現在、世界中で第四次産業革命が進んでいます。 5G、ビッグデータなどの 技術により私たちの働き方や生き方、そして膨大な量の データを処理する方法が変化し、フラッシュメモリの果たす役割が日増しに大きくなっています。

2002年にサムスンは、世界で初めて1GB(ギガバイト)NAND型フラッシュメモリを大量 生産し、公式的にフラッシュメモリ分野でトップの座を占め、常に前進し続けてきました。 18年が過ぎた現在、 絶えず革新を重ねて世界で初めて3次元V-NAND技術を完成し 大量 生産を実現させたサムスンは、最高レベルの性能と品質を誇る製品と ソリューションにより、市場をリードしています。

限界をチャンスに変える: 3Dメモリチップの時代を開くDRAM分野で努力を続けてきた結果、サムスンはフラッシュメモリ市場で快挙を達成することができました。 サムスンは、1999年に世界で初めて1GB NAND型フラッシュメモリを開発した後、メモリー技術のレベルを高め、2002年2GB NAND、2003年4GB、2004年8GB、2005年16GB、2006年32GB、そして2007年に64GBの製品をリリースしました。

(右側から)サムスンの1GB、2GBのNAND型フラッシュメモリ

また、サムスンは精密 工程分野でもリーダーシップを発揮してきました。 サムスンは2002年に90ナノプロセス技術設計の開発に成功し、 引き続きに2003年70ナノ、2005年50ナノ、2006年40ナノの開発を実現しました。 そして、2007年にプロセス技術を30ナノのレベルに引き上げることに成功しましたが、それはサムスンによる 新時代の幕開けといえる出来事でした。

サムスンは2006年に初めて40ナノ32GB NAND型フラッシュメモリの商業化に成功しましたが、それは一時流行した「floating gate」アーキテクチャの限界を乗り越えた画期的なCTF (charge trap flash)*アーキテクチャといえます。

CTF (Charge trap flash): 穴の 空いた窒化物または「trap」を絶縁体として活用し、電荷を保存するNAND型フラッシュメモリ技術です。 これは、電荷を保存する穴を1、 空いた 穴を0と示す 2進数システムにつながります。 導電性「floating gate」方法を非導電性窒化物に切り替えるため、CTFは隣接セル間の漏話や干渉を効率的に抑えることができます。

メモリーの容量を増やして精密工程の強化を図る取り組みが進む中、CTF方法の技術的限界も 見えてきます。 その後、10ナノクラスのプロセス技術を利用する128GB NAND型フラッシュメモリを 開発し、セルが小さくなり隣接セルとの距離が近くなることによって、セル間の 干渉に 気づきました。

floating gate、CTF (charge trap flash)、3次元V-NAND技術の 発展段階

サムスンは、半導体微細化の限界を乗り越え、2013年8月に3次元V-NANDフラッシュメモリ技術を開発しました。 努力が長らく大きな成果に結びつくことのなかった中で、サムスンの技術の商用化は、メモリチップの業界に新鮮な衝撃を与えました。

V-NANDという画期的な技術の開発は、サムスンの革新によって可能になったもので、特に円筒型3D CTFとvertical stacking技術が大きな役割を果たしました。 このような技術は、従来の平面型NANDに比べ、 高速、 低電力消費、セルの耐久性向上という3つの長所がありました。 結果的にチップの密度の限界を乗り越えた安全な高容量NAND フラッシュ技術を開発し、 「テラの時代」と呼ばれる新時代が到来することになりました。

全世界のフラッシュメモリ市場でトップに立つために今日、サムスンはグローバルフラッシュメモリ市場を導いてきたことに誇りを持っています。 このすべては、どこから始まったのでしょうか。

1984年7月、サムスンは16KB EEPROMの開発に成功し、フラッシュメモリ分野 における先駆者として歩み始めました。 しかし、膨大な費用や大規模製品 開発の限界という障害にぶつかり、収益性の高いポータブル Mask ROM (MROM)に目を向けることになりました。 Mask ROMとは 電子辞書や 一時流行したゲームボーイ、たまごっちのゲーム機など、文字を保存する機器に適用された技術です。 一部の 日本企業でしかチップを生産していなかったため、恒常的にチップの供給不足が発生していました。

サムスンは自前でのMask ROMの技術開発を決め、 1989年についに技術開発を成功させました。 そして、これによって4億ドルの売上を達成しました。 しかし、これも長くは続かず、困難にぶつかりました。 当時は多彩なアプリケーションをサポートするスキルが十分でなく、MROMの需要は特定の 市場に限られていました。 そのため、サムスンはこの技術に投資する価値があるかどうかを悩みました。 それでも、サムスンの経営陣や社員は、必ずフラッシュ メモリの 時代が来るという信念で、 研究に邁進しました。

2001年のある日、サムスンの経営陣が日本の東京にあるざくろという 飲食店に集まりました。 その当時、フラッシュメモリ産業をリードしていた ある会社から共同開発の提案を受け、その提案を受けるか、それとも 独自開発を続ける べきか悩んでいました。

長い議論の末、必ずフラッシュメモリの 時代が来ると信じて独自開発を続けてきたサムスンは、その提案を断り今まで通りに やっていくことを決めました。 「ざくろ会議」と呼ばれるこの出来事は、サムスンの フラッシュ メモリ事業に新たな扉を開くきっかけとなり、成長の原動力になりました。

成功に至る道は、決して平坦な道ではありませんでした。 製品を売る 市場を確保できない状態の中、NAND型フラッシュメモリ市場が、近いうちに35%ほど 縮小するという話もありました。 サムスンが生き残るには、攻めの経営をするほかなかったのです。

サムスンは、このような問題を解決するために、この技術を適用する新しい アプリケーションに目を向けました。 その中の一つが、 1億台以上に成長を続けているPC市場を活用することでした。 これは、ポータブルフラッシュメモリを指します。 今日、ピンキーサイズのUSBメモリースティックは世界中どこにでもある製品ですが、サムスンがすべての難題を克服し、2002年にフラッシュメモリの製造分野でトップの座を占めるにあたり、大きな役割を果たしました。

2005年、この市場でNAND型フラッシュメモリの供給過剰が発生するという予測が出ました。 そこでサムスンは 「市場がなければ新たにつくる」という覚悟で、新市場の開拓に乗り出しました。 サムスンは他のどの記録媒体よりも自社のフラッシュメモリが優秀だと 訴え、クライアントを説得しました。 その結果、当時アナログ音源市場でフラッシュメモリが驚くべき成長を 遂げました。 MP3市場でフラッシュメモリが標準として定着し大きな成功を収めると、サムスンは、再び フラッシュメモリ市場で先頭に立ちました。

2000年代半ば頃、サムスンは、世界で初めてSSDの商業化に成功し、HDDに代わる大規模 市場を作り出しました。 サムスンは、不断の努力によってフラッシュメモリ市場において今日も トップの地位を維持しています。 サムスンの経営陣や社員は、フラッシュメモリ技術をさらに発展させ、 革新的な製品を開発するために今も懸命に努力しています。

サムスンのフラッシュメモリの歴史

  • 1990年代

    1994

    16MB NAND型フラッシュメモリをリリース

    1998

    生産を開始
    128MB NAND型フラッシュメモリ

    1999

    1GB NAND型フラッシュメモリを開発

    1999年、サムスン電子のフラッシュメモリの歴史を示すイラスト画像

  • 2000年代

    2002

    生産を開始
    1GB NAND型フラッシュメモリの開発に成功
    90ナノ、
    2GB フラッシュメモリ

    2002年、サムスン電子のフラッシュメモリの歴史を示すイラスト画像

    2003

    70ナノの開発に成功
    14GB NAND型フラッシュメモリ

    2004

    60ナノの開発に成功
    8GB NAND型フラッシュメモリ

    2004年、サムスン電子のフラッシュメモリの歴史を示すイラスト画像

    2005

    生産を開始
    70ナノ、4GB NAND型フラッシュメモリ
    50ナノの開発に成功
    16GB NAND型フラッシュメモリ

    2006

    生産を開始
    60 Nano 8GB、
    40ナノの開発に成功
    32GB NAND型フラッシュメモリ

    2007

    生産を開始
    50ナノ、16GB NAND型フラッシュメモリ
    30ナノの開発に成功
    64GB NAND型フラッシュメモリ

    2007年、サムスン電子のフラッシュメモリの歴史を示すイラスト画像

    2009

    生産を開始
    30ナノ、32GB NAND型フラッシュメモリ


  • 2010年代

    2010

    生産を開始
    20ナノ、32GB、20ナノ、
    64GB NAND型フラッシュメモリ

    2012

    生産を開始
    10ナノ、64GB NAND型フラッシュメモリ

    2013

    生産を開始
    10ナノ、128GB NAND型フラッシュメモリ
    および第1世代128GB V-NAND
    (24レイヤー)

    2013年、サムスン電子のフラッシュメモリの歴史を示すイラスト画像

    2014

    生産を開始
    第2世代128GB V-NAND
    (32レイヤー)

    2015

    生産を開始
    第3世代256GB V-NAND
    (48レイヤー)、128GB eUFS

    2017

    生産を開始
    第4世代V-NAND (64レイヤー)
    1TB V-NANDの開発に成功

    2018

    生産を開始
    256GB eUFSおよび
    第5世代V-NAND
    (9倍のレイヤー)

    2019

    生産を開始
    1TB eUFS

    サムスンのeUFSチップのイラスト画像