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第2弾、ウェハ表面を保護する酸化工程

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Samsung Semiconstory:半導体8工程-ウェハ表面を保護する酸化
Samsung Semiconstory:半導体8工程-ウェハ表面を保護する酸化

気づけば、現代人にとって水や空気と同じくらい身近な存在となっている半導体。 私たちの暮らしと密接な関係にある半導体がどのようにして作られているのか、その8つの工程について説明します。 前回は最初の段階として、ウェハ(Wafer)の製造についてご紹介しました。 今回は、半導体の8つの工程のうち2つ目、酸化工程(Oxidation)について詳しく見ていきましょう。
半導体ウェハー酸化工程構成-尿素酸素、水蒸気、ウェハー、800~1200度
半導体ウェハー酸化工程構成-尿素酸素、水蒸気、ウェハー、800~1200度

ウェハの保護膜と絶縁膜の役割をする「酸化膜(SiO₂)」

砂から抽出したシリコンを半導体集積回路の原料として誕生させるため、一連の精製過程を通じてインゴット(Ingot)と呼ばれるシリコンの柱を作ります。 このシリコンの柱を均一な厚さに切断して研磨すると、半導体の基盤となるウェハが作られます。 こうして作られた薄い円板状のウェハは、電気を通さない不導体の状態です。 そこで、導体と不導体の両方の性質を持つ「半導体」にする作業が必要となります。 そのため、ウェハ上に様々な物質を塗布しては、設計した回路パターン通りに削り、再度物質を塗布して削るという作業が繰り返されます。
酸化膜が形成されたウエハー画像
酸化膜が形成されたウエハー画像

このすべての工程の最も基礎となる段階が酸化工程です。 酸化工程の目的は、ウェハに絶縁膜の役割を担う酸化膜(SiO₂)を形成し、回路間にリーク電流が流れるのを遮断することです。 酸化膜は、イオン注入工程における拡散を防止し、エッチング工程で必要な部分が誤って除去されないように防ぐ役割も果たします。 つまり、酸化工程で形成された酸化膜は、半導体の製造過程において強固な保護膜となってくれるのです。 微細な工程が続く製造過程では、ごくわずかな不純物さえも集積回路の電気的特性に致命的な影響を及ぼしてしまうからです。 では、このように強固な保護膜となる酸化膜は、どのようにして作られるのでしょうか。
半導体ウェハー熱酸化方法イメージ
半導体ウェハー熱酸化方法イメージ

ウェハは大気中または化学物質内で酸素に触れると、酸化膜を形成します。 これは鉄(Fe)が空気に触れると、酸化して錆がつくのと同じ仕組みです。 ウェハを膜で覆う酸化工程の方法には、熱による熱酸化(Thermal Oxidation)、プラズマ化学気相蒸着(PECVD)、電気化学的陽極処理などいくつかの種類があります。 その中で最も一般的な方法は、800~1200℃の高温で、薄くて均一なシリコン酸化膜を形成させる熱酸化法です。 熱酸化法は酸化反応に使われる気体によって、ドライ酸化(Dry Oxidation)とウェット酸化(Wet Oxidation)に分かれます。 ドライ酸化は、純粋な酸素(O₂)のみを利用するため酸化膜の成長速度が遅く、薄い膜を形成するときに主に使われる方法で、電気的特性に優れた酸化物を作ることができます。 ウェット酸化は、酸素(O₂)と共に溶解度の大きい水蒸気(H₂O)を利用するため、酸化膜の成長速度が速く、より厚みのある膜を形成できますが、ドライ酸化に比べると酸化層の密度が低くなります。 通常、同一温度と時間でウェット酸化によって得られた酸化膜は、ドライ酸化によるものと比べて約5~10倍厚くなります。 ここまで、ウェハ表面を保護する酸化膜の形成とその役割について見てきました。 次回は、酸化膜が形成された半導体の上に、どうやって半導体の設計回路を描くのかをご紹介します。どうぞお楽しみに。