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ISOCELL HP2がGalaxy S23 Ultraへの搭載でデビュー

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2023年1月、サムスン電子が、より高精細なモバイル写真撮影を可能にするためにピクセル技術を強化した新しい200メガピクセル(MP)イメージセンサー、ISOCELL HP2を発表しました。2月に開催された「Galaxy Unpacked」では、サムスン電子はISOCELL HP2を搭載した新モデルのGalaxy S23 Ultraを発表。2億画素という非常に高い解像度と壮大なディテールを持つ画像の撮影が可能になります。ISOCELL HP2は、プロ・アマ問わずさらにレベルアップさせたいとお考えのカメラマンの新たな可能性を切り拓きます。 新機能:主な相違点 画素開発チーム担当副社長のキョンホ・リーは、「従来のGalaxy Sシリーズに採用されていた108MPセンサーと比較して画素サイズを約56%縮小するためにISOCELL HP2の画素蓄積容量を飛躍的に増やすと同時に、画質を維持したまま全画素オートフォーカスを実現する必要がありました」と述べました。
そのために開発された革新的な新技術が「デュアル垂直転送ゲート」で、フォトダイオードに蓄積された大量の電荷を2つの垂直ゲートで効率よく回路に転送します。この技術により、ゴーストのない、光度のワイドダイナミックレンジな画像を生成できます。 設計面では、ISOCELL HP2の高画素数および高フレームレートに伴い、センサーが連続した画像を撮影または複製する速度のフレームレートを実現するために、非常に高速で動作する回路設計が必要でした。 センサー設計担当のスンジン・リーは次のように付け加えます。「アナログ・デジタル変換(ADC)の大幅な強化が不可欠でした。開発者たちは、この問題の解決策を考案し、今回初めてISOCELL HP2に採用したことでADC間の潜在的な不一致を事前に推測および修正することができるようになりました。その結果、イメージセンサーの性能と信頼性を確立するために必要なすべての目標を達成することができたのです」。 より多くの画素、壮大なディテール。 ISOCELL HP2の主なメリットは、ユーザーの写真撮影や動画撮影の選択肢や機会が広がることです。200MPカメラを搭載したスマートフォンはデフォルトでは12MPに設定されていますが、ユーザーの好みや照明条件に応じて50MPや200MPに切り替えることができます。 ISOCELL HP2は、光の状況に応じて4つまたは16の画素を1つにグループ化できるTetra2pixel技術を採用しており、高画素な製品の特徴である絶妙なディテールを維持したまま、低照度条件でも明るくシャープな写真を撮影できます。 センサーマーケティングチームのソユン・チェは「4K(約8MP)時代を超えて、8K(約33MP)時代へと移行しつつある今、超高解像度イメージセンサーにより、色鮮やかで画角ロスの少ない高品質な8K動画を手のひらサイズのデバイスで撮影できます」と述べました。 技術的課題と妥協を許さないイノベーション 画素の微細化に伴い技術的な課題が深刻化するなか、サムスン電子は超高解像度イメージセンサーのイノベーションへの取り組みを続けています。 前出のキョンホ・リーは、「人間の網膜の最大有効画素と言われる5億7600万画素を超える画素数を目標にしています」としました。 画素数の縮小化は限界に達したという考え方は以前からありましたが、サムスン電子は技術に限界はないという信念のもと、引き続きISOCELLテクノロジーを進化させ、新しい最先端技術の開発に取り組んでいます。「サムスン電子では、すべてのモバイルユーザーの皆様の貴重な瞬間やかけがえのない出来事を、肉眼で見ているかのように鮮明かつ明確に撮影できるカメラをお届けできるよう、全力を尽くしています」。 「画質を徹底的に評価するために、アルゴリズム開発の初期段階から専門家と連携し、画質評価基準の数値結果や視覚認識の観点からの結果の客観性の向上に取り組んでいます」(キョンホ・リー)。「この評価プロセスに参加したチームの一員として、これはサムスン電子がこれまで発売した超高解像度イメージセンサーの中で最高級であると断言できます」。 同チームは、各画素に収容できる電子数を飛躍的に増やすことで、ISOCELLで可能な限り最上級の画質である200MPを実現しました。1 50MPおよび12MPでもノイズを低減できる新しいアーキテクチャにより、撮影環境が明るくても暗くても、卓越した画質を提供します。 また、2億画素の位相差画素をフル活用したオートフォーカス機能では、高速で正確なフォーカスを実現。画素あたりの電子容量の増加により、優れたHDR(高ダイナミックレンジ)性能をもたらします。 スンジン・リーは、厳しい開発スケジュールを守りながらお客様の期待に応えるには、多大な困難を伴ったと言いました。「優先順位の高い目標に焦点を当て、リソースを適切に配分することで、開発スケジュールの期限を守り、要求されるパフォーマンスの成果をすべて達成することができました。期限通りに完了するのが難しいタスクもありましたが、力強いチームワークを発揮して乗り切ることができました」。 キョンホ・リーは次のようにも述べています。「すべての領域で最高の性能を提供し、お客様に最良のユーザーエクスペリエンスをお届けできるようベストを尽くしました。容易な仕事ではありませんでしたが、他部署からのサポート、チームワーク、そしてコミュニケーションによって課題を克服し、最適なソリューションを見つけることができました」。 成長の見通し 100MPを超えるイメージセンサーの世界市場は拡大することが予想されています。サムスン電子は、108MPから200MPのイメージセンサーの製品ラインアップと共に、超高解像度イメージセンサーカテゴリーの市場におけるリーダーシップをさらに強固なものにしていく考えです。 イメージセンサーにとって最も重要な要素は画質です。サムスン電子は、新しい素材とアーキテクチャ、ノイズ低減トランジスタ、アルゴリズムを駆使して、量子効率の近い将来の向上を図ります。この進化より、高ダイナミックレンジの表現力をさらに高め、処理速度を向上させ、肉眼で見る以上にシャープできめ細かいディテールの解像度をお楽しみいただけるようになります。 サムスン電子は、今後も大きな画素と小さな画素の二本立て体制でイノベーションを続け、市場の期待を上回る製品の提供に取り組んでまいります。さらに、低照度下での画質やHDR性能は、今後も引き続きユニークなユーザー体験を提供するための不可欠な要素であると考えています。 ソユン・チェは、「この傾向と進化が続けば、近い将来、きめ細かいディテール表現だけでなく、ダイナミックレンジや色再現性おいても人間の目を完全に模倣した素晴らしいイメージセンサーをが登場するでしょう」と語りました。 スンジン・リーは、ユーザーエクスペリエンスの観点から高ダイナミックレンジ(HDR)が注目されており、多くの企業でHDRに関する様々な技術の研究や開発が行われていると強調します。「画素数と同様に、HDRもイメージセンサーを構成する要素の一つとして重要度が増しており、その性能も向上を続けるでしょう」と予測しています。
1. 単一垂直転送ゲート技術で構築された従来品との比較。