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サムスン電子は、MBCFET によりトランジスタの性能、電力、 面積の改善へのゲートを開きます

この記事は、セーフフォーラム2022からのサムスンファウンドリーのデザイン・プラットフォーム・セッションのプレゼンテーションに関して掘り下げたシリーズの一部です。これは重要なSAFEエコシステム技術と進歩に関する専門家の観点を共有するものです。

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過去2年間、新型コロナウィルスの影響は世界中で痛切に感じられ、いくつもの産業で生産が中断し、完全に生産停止にさえなった場合もいくつかありました。しかし、予測できない難題にも関わらず、サムスンファウンドリーは発展を続けてリードすることができ、消費電力や使用面積を減らしながら性能を改善することにより、ますます高まる産業ニーズに答える新しい半導体ソリューションをもたらしました。 世界的な難題の中でサムスン電子の成功への鍵には、2つの要素があります。ゲートオールアラウンド(GAA)技術の進化と産業パートナーとの協業による設計の最適化です。 MBCFET™を使用してGAA上に構築
サムスン電子がプレーナ型トランジスタからFinFETトランジスタへ移行することで、多くの点で最初に業界をリードし、サムスン電子は半導体プロセスのために新しい基準を設定しました。サムスン電子はFinFETアーキテクチャを活用して、プレーナ型トランジスタの制約であった短チャネル効果を克服することができました。その後はGAAがあとを継ぎ、ナノワイヤーを使用して、電圧スケーリングを改善できました。ナノワイヤをベースとしたトランジスタ技術は向上したチャネルを用いて駆動電流を改善しましたが、低リーク電流を犠牲とすることで、最終的には利点が抑えられました。 十分な電流を供給するためにナノワイヤはもっと多くの積層が必要な一方で、各ナノシートベースのMBCFETTM は、GAAの限界を克服する積層の数がさらに少なくてすみ、さらに広いチャネル幅でさらに大きな電流を流します。ナノシートを活用するマルチブリッジチャネルFET(MBCFETTM )の導入により、より小さな面積に柔軟な設計、低電圧での動作、素晴らしい性能を実現可能なトランジスタアーキテクチャにおいて、サムスン電子は再び躍進しました。これにより低電圧のオンオフ制御と効率の高い動作が可能になります。結果は、簡単にスケーラブルで、使用面積がより小さく費用効果の高い高性能トランジスタです。改善のためだけの改善よりさらに重要なのは、MBCFETTM 設計は、高性能、低電力消費、面積使用の削減が不可欠である車載、AI/ML、大規模データベースのような高度な部門での使用に必要とされているということです。 設計技術協調最適化によりトランジスタ効率を最大化
ナノワイヤベースのGAAアーキテクチャの限界を克服するソリューションは障害なく進んだように見えるかもしれませんが、それには、電力と電圧フローの調整についての適切なバランスを見つける必要がありました。このパズルの答を見つける間に、サムスン電子は設計技術協調最適化(DTCO)分析を通じて、サイズと性能の最適なバランスを見つける工程に力を注いできました。 DTCO分析を用いたゴールは、工程と設計の両方でトランジスタ向けに性能、電力削減、使用面積(PPA)全体の最適化を図る方法を調査することです。 トランジスタの性能は、電流の増加が動作速度の増大に適切に変換できるかどうかで測定されます。次に、性能を改善するには、性能を阻害する可能性があるチップ設計のいかなる要因をも最小化することです。MBCFETTM では、チャネル幅による性能損失と低電力によって発生する劣化の両方を考慮に入れなければなりません。DTCOはFinFETチャネル幅を拡大することで非効率的な構造となることの解決だけでなく、低動作電圧でも大電流が可能となることでMBCFETTM 用の動作電流のさらなる増加も解決するというソリューション開発を支援しました。 面積に関しては、ロジックは、トランジスタ部分の全体的な削減がソリューションであると指摘しています。しかし、トランジスタの各部分が最適に機能するには最低限の面積が必要で、寸法の変更はトランジスタの抵抗とキャパシタンスに影響します。従って、どのようなソリューションでも、スケーリングの結果として導入されるかもしれない電力のオーバーフローと性能低下のようなやっかいな問題を考慮に入れないといけません。DTCOを通じて、サムスン電子は顧客のニーズに合う性能と電力削減がバランスするよう、使用できる4つのチャネル幅のオプションを開発してきました。 例として、SRAMワードライン ドライバのケースはより狭いチャネル幅の節約された面積でメリットを得ることができます。可変チャネル幅はまた、サムスン電子が4nmに比較してより良いソリューションとして、従来型FF、低電力FF、高速FFのようにさまざまなFFセルを提供できるということです。そして、フィードバックループにより、以前の回路に比べてサイクルの半分だけ使うことで、電力を節約できます。 最終的にはDTCOによってサムスンファウンドリーの顧客は、低コストでのノードの開発高速化から利益を得ることができます。 サムスン電子のパートナーに実績のある設計インフラストラクチャを提供
DTCOから得られた利点はSamsungアドバンストファウンドリエコシステム(SAFE)からの支援により可能となりました。SAFEは先端的なシステムオンチップ(SoC)設計を提供するためにサムスンファウンドリーとエコシステムパートナーと顧客を結びつける統合的なプログラムです。 顧客がより早く市場に出せるよう設計され、承認工程と製品の信頼性が向上したSAFEはAnsys、ケイデンス、シーメンス、シノプシスのような産業パートナーと協業し、半導体設計を最適化するよう革新的なソリューションを開発します。シナジーなネットワークを通じて、SAFEは顧客に4,000を超えるIPタイトルを所有する56社のIPパートナーを通じて競争力のあるファウンデーションIPや、EDAによる基礎的なRTL-to-GDS設計方法論の文書、AWSやMicrosoft Azureのようなクラウドサービスプロバイダーにアクセスするさらに柔軟な設計環境を提供します。