本文へ移動

超高画質テレビの中に隠された半導体の秘密とは?

  • 共有

ホームエンターテインメントに欠かせないテレビ。 最近、テレビ市場の新たなトレンドとして「ミニLEDテレビ」が注目されている。 これまでのLEDよりコンパクトでありながら、同じテレビの面積により多くの配列が可能となった点が特徴的だ。 そのため、一層明るく精細に色を表現でき、パネル自体を薄くできる。 世界のテレビ業界が注目するこの次世代の技術では「ミニLED」を必要なタイミングでより精巧かつ効率的に駆動・制御できる半導体の性能が重要になる。 サムスン電子は、革新的な性能を持つ新しい2種類の「ミニLED対応ドライバーIC(S6LP441、S6LDMB1)」を発表し、ミニLEDテレビの技術の基準を一段階高めた。 サムスン電子のニュースルームでは「ミニLED対応ドライバーIC」の開発者にミニLEDテレビの中に隠された半導体をめぐる革新について話を聞いた。
(左から)「ミニLED対応ドライバーIC」の開発に参加したサムスン電子システムLSI事業部のキム・ギョンテク、キム・ヒョンテ、カン・サング、ユ・ソンジョン
(左から)「ミニLED対応ドライバーIC」の開発に参加したサムスン電子システムLSI事業部のキム・ギョンテク、キム・ヒョンテ、カン・サング、ユ・ソンジョン

△(左から)「ミニLED対応ドライバーIC」の開発に参加したサムスン電子システムLSI事業部のキム・ギョンテク、キム・ヒョンテ、カン・サング、ユ・ソンジョン

サムスン電子がリリースした「ミニLED対応ドライバーIC」は、テレビの画質と効率のさらなる進化を可能にする製品だ。 キム・ヒョンテは「ミニLEDテレビは、従来のLED製品に比べて色の表現や明るさや価格競争力など多くのメリットがあり、市場は拡大するだろう」と予想する。 また、ソリューションを開発した理由について「ミニLED技術が登場してから、敷き詰められるLEDの数もこれまでに比べて数十から数百倍に増えた。 その分、細かく制御しなければならなくなり、表示する映像に合わせて部分ごとに適切な明るさを調節できるICが必要になった」としながら「その結果、より効率的に駆動させる方法を考えて作った2種類の『ミニLED対応ドライバーIC』をリリースするに至った」と語った。
ミニLED駆動ICのイメージ
ミニLED駆動ICのイメージ

△(左から)親指に「ミニLED対応ドライバーIC」を載せて紹介する様子。 こうして見ると、製品のサイズがわかる。

テレビに搭載されるLEDの数が増えると、より多くのICが必要になり、システム構成が複雑になって細かい制御が難しくなる可能性がある。 これについて、ユ・ソンジョンは「この問題を解決するために、液晶ディスプレイの駆動に主に使われるマトリックス方式の概念を取り入れた」と語る。「より多く敷き詰められたLEDを精巧に調節できるマトリックス方式を採用した結果、ミニLEDを従来より正確に駆動させ、効率的なICを開発することができた」そうだ。 このICソリューションが革新的なのは、LEDドライバーIC(S6LP441)と、これを制御するコントローラーIC(S6LDMB1)を分離した点にある。 非常に小さなLEDドライバーIC(S6LP441)をミニLEDの近くに配置し、LEDを直接、駆動する。 サムスン電子が新たに開発したこの方式は、業界で広く用いられている時分割多重方式(TDM:Time Division Multiplex)に比べて、各LEDが発光する時間をより効率的に活用できる。 それだけでなく、ローカルディミング(Local Dimming)の分割数を増やすのに有利で、配線を最小限に抑えてIC自体の電力効率も高められる。 ユは「これまでの時分割多重方式では、順次割り当てられた時間にのみ発光させるので、LEDの明るさを必要なエリアに合わせて細かく調節するのが難しかった。 開発チームのメンバーとともに長期にわたって各駆動方式の特長を分析し、どのように設計すれば発光時間をもっと効率化し、配線数を減らせるか非常に苦心した」と振り返る。
(左から)親指に「ミニLED対応ドライバーIC」を載せて紹介する様子。 こうして見ると、製品のサイズがわかる。
(左から)親指に「ミニLED対応ドライバーIC」を載せて紹介する様子。 こうして見ると、製品のサイズがわかる。

△(左から)親指に「ミニLED対応ドライバーIC」を載せて紹介する様子。 こうして見ると、製品のサイズがわかる。

キム・ヒョンテは「特に今回の2種類の製品のうち、S6LP441には配線技術を向上させた最先端のパッケージ技術(CSP, Chip Scale Package)を採用した」としながら「CSPの技術により超小型ICを実装してよりスリムなデザインのテレビを実現できるようになった」と語った。 カン・サングは「テレビでは調光(Dimming)技術が重要だ。 夜空を「より暗く」、その中の月や小さな星は「より明るく」表現し、一層鮮明な画面を実現するのが調光技術だ」としながら、「この製品は必要なエリアにのみ選択的に光の量を細かく調節できるため、高いコントラスト比を実現できる。 おかげでテレビのHDR(High Dynamic Range)性能の向上にも貢献できた」と話す。 カンはまた「発光ゾーンと輝度調節を業界最高レベルで実現できる」と強調した。 高画質テレビへの消費者の期待と需要は高まり続けている。 キム・ギョンテクは「今後、テレビに搭載されるLEDの数は増加し続け、LED対応ドライバーICもますます小さく効率的に発展していく」としながら「今回の革新で『次世代LEDドライバーIC』の応用範囲が一層拡大するだろう」と見込んだ。 現在、量産されているサムスン電子の「ミニLED対応ドライバーIC(S6LP441, S6LDMB1)」は、近く発売されるサムスン電子のテレビにも搭載される予定だ。