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ウェハ(mm)の上に描く下描き(nm)。Part 1

  • サムスン電子ファウンドリー事業部の「EUV Minimum Pitch Single Patterning」

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サムスン電子ファウンドリー事業部は、「EUV Minimum Pitch Single Patterning」をテーマにした論文をIITC(International Interconnect Technology Conference)で発表しました。今回はより多くの方に論文とEUV技術の特徴を知っていただくために、記事を用意しました。 1. フォト工程(露光工程・Photo Lithography)とは? 半導体プロセスで最も注目を集めるキーワードの一つは「フォト工程(露光工程・Photo Lithography)」です。EUVもこのフォト工程のための技術なので、EUVをよく理解するために、まずフォト工程について見てみましょう。
A. 彫刻を彫るための下絵、フォト工程。 彫刻や裁断をするためには下絵が必要です。切りたい部分を正確に切ったり、彫ったりするために、あらかじめ下絵を描いておくのです。フォト工程の目的はこの下絵を描くのと同じです。半導体プロセスは積み上げて削ることの繰り返しなので、フォト工程を活用して削りたい部分にあらかじめ下絵を描いておきます。 B. 下絵を撮る。「カシャ」 普段私たちが下絵を描く時は、ペンなどの道具を利用して描きますが、フォト工程はその名前の通り、光を利用してフィルムに画像を焼きつける写真と同じ方式で行われます。この工程は[図1]のように光を利用します。 描きたい模様を薄い板で製造し、その板を利用して光を遮ったり、通したりすることで描きたい部分に下絵を現像します。ここで使用する薄い板をマスク、またはReticleといいます。
[図1]カメラと原理が似ているフォト工程。小さいサイズの限界を乗り越えるために実際に描かれる絵より大きく製造し、真ん中のレンズで光を集めてサイズを縮小します。
[図1]カメラと原理が似ているフォト工程。小さいサイズの限界を乗り越えるために実際に描かれる絵より大きく製造し、真ん中のレンズで光を集めてサイズを縮小します。
[図1] カメラと原理が似ているフォト工程。小さいサイズの限界を乗り越えるために実際に描かれる絵より大きく製造し、真ん中のレンズで光を集めてサイズを縮小します。
しかし、紙に光を当てて影を作るとしても、その影が紙の上に絵のように描かれることはありません。入ってきた光を絵のように残すためには写真フィルムの役割をする「何か」が必要ですが、フォト工程で光を当てる前に塗布するPR(フォトレジスト・感光液)がその役割を果たします。フォトレジストは光に反応して性質が変わる感光液の一種です。図[2]のように削りたい物質の表面にフォトレジストを塗布し、マスクを通過した光を当てると、光が当たった領域のフォトレジストと当たらなかったフォトレジストの性質が変化します。このような性質の差を利用してフォトレジストの2つの領域のうち必要な領域のみを残し、除去するDevelop過程を経て、最終的にマスクの上に残った模様がフォトレジストになります。このようにマスクの形(Pattern)を削りたい物質の表面に現像する一連の過程をパターニング(Patterning)といいます。
図[2] PR(Photo Resist・感光液)の種類は2種類ある。光が当たらなかった部分が残り、マスクのふさがった部分と同じ模様(Pattern)が残ることをポジ型フォトレジスト(Positive PR)、逆に光が当たった部分が残り、マスクの空いた部分が残ることをネガ型フォトレジスト(Negative PR)という。
図[2] PR(Photo Resist・感光液)の種類は2種類ある。光が当たらなかった部分が残り、マスクのふさがった部分と同じ模様(Pattern)が残ることをポジ型フォトレジスト(Positive PR)、逆に光が当たった部分が残り、マスクの空いた部分が残ることをネガ型フォトレジスト(Negative PR)という。
図[2] PR(Photo Resist・感光液)の種類は2種類ある。光が当たらなかった部分が残り、マスクのふさがった部分と同じ模様(Pattern)が残ることをポジ型フォトレジスト(Positive PR)、逆に光が当たった部分が残り、マスクの空いた部分が残ることをネガ型フォトレジスト(Negative PR)という。
パターニングを行った後は物質を削るエッチング工程に進みます。この時、同時にエッチング作業(削り取る作業)を前面に行いますが、フォトレジストが残った部分(下部)は削られずに残されるので、望みどおりの下絵を作ることができます。 ここまでフォト工程の基本的な役割と原理について説明しました。こうみるとフォト工程はマスクを通して光を当てるだけの簡単な工程のようにみえますが、半導体産業におけるフォト工程の発展は、なぜこれほど多くの注目を集めているのでしょうか?
2. フォト工程の発展はなぜ必要なのか? より小さいトランジスタを利用する半導体を製造する「プロセス微細化」に向けて、私たちは多くの困難を乗り越えてきました。その困難の一つがフォト工程です。それでは、フォト工程の発展を妨げる壁は何でしょうか?
A. パターニングを妨害する光の回折と干渉 光が狭い隙間を通る時、本来の進行方向とは違う方向に広がる特性の「回折」と、2つの光の波動が重なり合い、互いに補強されたり相殺されたりする特性の「干渉」がフォト工程のパターニングを妨げる最大の障害です。 図[3]のように光は回折する性質があるため、狭い隙間を通る時は直進できずその隙間を中心に扇形の波動になって広がります。回折は幅が狭く、波長が長いほど遠くまで広がるという特徴があります。
図[3] 上記の図の場合、回折現象がさらに大きく起こり、波長が遠くまで広がる。波長が長くなった場合 (a)→(b)、隙間の幅が狭くなった場合 (c) → (d)
図[3] 上記の図の場合、回折現象がさらに大きく起こり、波長が遠くまで広がる。波長が長くなった場合 (a)→(b)、隙間の幅が狭くなった場合 (c) → (d)
図[3] 上記の図の場合、回折現象がさらに大きく起こり、波長が遠くまで広がる。波長が長くなった場合 (a)→(b)、隙間の幅が狭くなった場合 (c) → (d)
さらに、図[4]のように2つ以上の隙間を通ることで回折された光が広がり、光が互いに干渉し合う現象が起こります。図[4]の(a)のように、波長に比べて、隙間の幅と、溝と溝の間に十分な余裕がある場合は問題になりませんが、(b)のように幅が狭くなり、溝と溝の距離が近くなるとフォトレジストに望むパターンを正確に現像することができません。描こうとする下絵の線が細くなり(隙間が狭くなり)、密度が高いほど(溝と溝の間隔が狭まるほど)、正確に描くことが困難になるのです。
図[4] さらに狭い隙間を通ることで回折された光はもっと広がり、広い領域で多くの干渉が起こるため、望む位置に光が正確に当たらない
図[4] さらに狭い隙間を通ることで回折された光はもっと広がり、広い領域で多くの干渉が起こるため、望む位置に光が正確に当たらない
図[4] さらに狭い隙間を通ることで回折された光はもっと広がり、広い領域で多くの干渉が起こるため、望む位置に光が正確に当たらない
プロセス技術の発展と同時にトランジスタのサイズは小さくなります。これにより、フォト工程が描く線の幅は狭くなり、密度は高まりつつあります。これはフォト工程の難易度も徐々に高まっていることを意味します。 サムスン半導体はフォト工程における限界を下のような工夫を重ねて乗り越えてきました。
3. 少し回り道をしても、目的地に正確に到達しよう。 フォト工程における限界を乗り越える方法は様々ですが、ここでは光の回折と干渉に関わる問題を間接的に解決したいくつかの実例を見てみましょう。
A. Multi Patterning Technology - 一度に描くのが難しかったら、2回に分けて描こう! 狭い道ですれちがう人に肩がぶつかったことはありますか?少し離れて歩くと、このような衝突を避けることができたのでしょう。光が互いに干渉し合う現象を引き起こす問題を解決する方法も同様に進められました。溝と溝の間の間隔をもっと広げて、光と光の間の干渉を減らす方法です。図[5] (a)のように、従来は一度にパターニングを行っていた狭い間隔を隔てた4つの溝を、(b)と(c)で2つずつ、2回に分けてパターニングを進めることで溝と溝の間隔を広げ、干渉を減らしました。
図[5] 隙間が狭いため正確にパターニングできない(a)を(b)と(c)に分けて2回行い、溝と溝の間隔を広げることで望む模様にパターニングできる
図[5] 隙間が狭いため正確にパターニングできない(a)を(b)と(c)に分けて2回行い、溝と溝の間隔を広げることで望む模様にパターニングできる
図[5] 隙間が狭いため正確にパターニングできない(a)を(b)と(c)に分けて2回行い、溝と溝の間隔を広げることで望む模様にパターニングできる
これを何度もパターニングすることで、マルチパターニングテクノロジー(Multi Patterning Technology)と呼ばれます。 B. OPC - 小さくなる部分は大きく、大きくなる部分は小さく作ろう。 アーチェリーで弓を射るとき、真ん中を狙っても矢が外れた場合、私たちは外れた距離の分だけ反対の方向を狙って次の弓を射ます。誤差を考慮して再計算をするのです。パターニングの際にも同じくこのような誤差が発生した場合、誤差を反映してマスクを作成する方法を利用しますが、これをOPC(Optical Proximity Correction)といいます。図[6]の過程のように結果からフィードバックを得て、意図的に歪みのあるマスクを作成する方法です。
図[6] フォト(Photo)とエッチング(Etch)工程を行った時、光の性質によって正確にパターニングが行われず、マスクの形とは違って一部が太くなったり薄くなったり、さらにはすべて消えてしまったり、距離が近い部分とくっついてしまうことがあります。このような誤差が発生した結果を参考に、マスク自体の形を歪曲させることで最初に目標としていた形を得ることができます。
図[6] フォト(Photo)とエッチング(Etch)工程を行った時、光の性質によって正確にパターニングが行われず、マスクの形とは違って一部が太くなったり薄くなったり、さらにはすべて消えてしまったり、距離が近い部分とくっついてしまうことがあります。このような誤差が発生した結果を参考に、マスク自体の形を歪曲させることで最初に目標としていた形を得ることができます。
図[6] フォト(Photo)とエッチング(Etch)工程を行った時、光の性質によって正確にパターニングが行われず、マスクの形とは違って一部が太くなったり薄くなったり、さらにはすべて消えてしまったり、距離が近い部分とくっついてしまうことがあります。このような誤差が発生した結果を参考に、マスク自体の形を歪曲させることで最初に目標としていた形を得ることができます。
4. 実際の解決に向けた取り組み。 サムスン半導体は、この他にも様々な研究を重ねて光の性質によって生じるフォト工程の限界を乗り越えてきました。小さくなったパターンに発生する、光の性質による問題の根本的な解決方法は、光の波長を減らす方法です。(図[3]参照) サムスン半導体はこの光の波長を抑える方法にも着実に取り組んできました。次回の記事ではフォト工程の発展による波長変化の過程とともに、近年最も注目を集めているEUV(超紫外線)はどのような特徴があるか見ていきましょう。