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【寄稿】アドバンスドパッケージ技術で半導体の限界を超える

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ビヨンド・ムーアの時代: 半導体の限界を超えて これまでの半導体企業は、同じサイズのチップにトランジスタをどれだけ小さく、より多く集積できるかに焦点を当てて製品を開発してきました。 かつて、ゴードンムーア(Gordon Moore)は「半導体の集積率は24ヶ月ごとに2倍になる」と予測しましたが、これがよく知られている「ムーアの法則」です。 ムーアの法則は、半導体技術の発展速度によって少しずつ変化はしてきたものの、50年以上にわたり守り続けられ、半導体産業の発展の基礎となってきました。 スマートフォンやモバイルインターネット、人工知能(AI)、ビッグデータの時代が到来し、より高い計算性能が急速に必要とされていますが、 半導体技術の進歩と革新の速度が過去に比べて鈍化し、半導体プロセスの微細化が物理的な限界に達しているため、集積率の増加速度が過去に比べて鈍化しています。 つまり、ムーアの法則が限界に近づいている状況です。 また、アナログやRF無線通信など多種多様な機能を一つに統合した用途の広い半導体が求められています。 しかし、プロセスが微細化されるほどアナログ性能が低下するという問題があり、ムーアの法則に基づくプロセスの微細化だけでは、これらの要求に効率的に対応するのは難しいのも現実です。 このような半導体技術の限界を克服するためには、ムーアの法則を越える新しい方法が必要です。私たちはこれを、ビヨンド・ムーア(Beyond Moore)と呼んでいます。 アドバンスドパッケージでビヨンド・ムーア時代をリード
ビヨンド・ムーア時代をリードできるのが、アドバンスドパッケージ(Advanced Package)技術です。 複数の半導体を水平方向および垂直方向にも接続するヘテロジニアス・インテグレーション(Heterogeneous Integration)技術を通じて、より小さな半導体に(正確にはより小さな半導体パッケージ内に)より多くのトランジスタを集積でき、それぞれの性能を上回るより強力な性能を実現します。 市場調査機関によると、アドバンスドパッケージ市場は2021年から2027年にかけて年平均9.6%の高成長を記録すると予想されています。 特に、ヘテロジニアス・インテグレーション技術を使用した2.5次元[1] と3次元[2] パッケージの場合、毎年14%以上の成長率でアドバンスドパッケージ市場全体を上回るものと見込まれています。 アドバンスドパッケージ技術の研究開発(R&D)に対する各国政府の関心も高まっています。 去る2月、韓国政府は産業通商資源部主催で半導体パッケージの発展のためのフォーラム発足式を開催し、アメリカ国防省傘下の主要研究開発組織であるDARPA(Defense Advanced Research Projects Agency)は2022年4月、アドバンスドパッケージ関連分野に大規模な新規予算を編成しました。 日本も民間パッケージ研究所の誘致に補助金やインフラなどのインセンティブを支援し、パッケージシンポジウムを設けるなど、アドバンスドパッケージに注目しています。 高性能低電力アドバンスドパッケージソリューションをワンストップで このようにアドバンスドパッケージ技術の重要性が高まる中、サムスン電子は昨年12月、アドバンスドパッケージ技術の強化および事業部門のシナジーを最大化するためにDS部門内にAVP(Advanced Package)事業チームを新設しました。 サムスン電子は、メモリ、ロジックファウンドリー、およびパッケージ事業をすべて併せ持つ世界で唯一の企業です。 このような強みを生かし、ヘテロジニアス・インテグレーション技術を通じてEUVを使った最先端ロジック半導体とHBMなどの高性能メモリ半導体を一つに接続した競争力のある2.5次元と3次元パッケージ製品を市場に提供することができます。 AVP事業チームでは、ニーズの高い高性能・低電力ソリューションをワンストップで提供するアドバンスドパッケージ事業モデルを備えており、 これを通じてお客様と直接コミュニケーションをとり、お客様のニーズや製品に適したアドバンスドパッケージ技術とソリューションの事業化に乗り出します。 特に、RDL[3]やSi Interposer/Bridge[4]、 TSV[5] 積層技術基盤の次世代2.5次元および3次元アドバンスドパッケージソリューションの開発に注力していく予定です。 つながり以上のつながり、そして私たちの未来 AVP事業チームの目標は、ハイパーコネクテッド(超接続)です。 ハイパーコネクテッドとは、それぞれの半導体が持つ性能と機能を単純に足し合わせるというより、大きな相乗効果を生み出すことです。 そしてこれを通じて、半導体を世界につなぎ、人と人をつなぎ、お客様の想像を現実につなげていく、つながり以上のつながりを目指します。 サムスン電子は、大面積化のトレンドに合わせた独自のパッケージ技術を保有するなど、競争力のある開発および生産戦略を展開しています。 これをもとに、お客様のニーズに適期に対応できる顧客中心の事業展開を通じて、他にはないオリジナルの製品を可能にするAVP事業チームを目指します。 [1]単層のロジック半導体と多層のメモリ半導体を基板上に集積したパッケージ [2]複数のロジック半導体とメモリ半導体を垂直に集積したパッケージ [3]RDL(Redistribution Layer、再配線層): 小型半導体回路と大型基板の回路を電気的に接続するために中間に新たな回路を構成する技術 [4]Si Interposer/Bridge、シリコンインタポーザ/シリコンブリッジ): ICチップとPCBの間に追加で挿入される微細回路基板を意味し、中間レベルの配線を実装してチップと基板を物理的に接続する役割 [5]TSV [Through Silicon Via、シリコン貫通電極): チップを薄くした後、数百個の微細な穴を開け、上下のチップの穴を垂直に貫通する電極を接続した先端パッケージング技術