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第8弾、完璧な半導体を選び出すための最初のテスト「EDS工程」

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EDS1
EDS1

数多くの製造工程を経た半導体チップは、最終段階のテストを通じて良品、不良品に選別されます。 半導体の製造過程では様々なテストが行われます。 ▲ウェハの完成段階で行われるEDS工程(Electrical Die Sorting)、▲組立工程後のパッケージ状態で行われるパッケージング工程(Pakaging)、そして▲製品の出荷前に消費者目線で実施される品質テストなどがあります。 今回は半導体の完成における最初の関門、EDS工程について見てみましょう。 半導体の歩留まりの向上に直結するEDS工程 EDS工程(Electrical Die Sorting)は、ウェハ上に電子回路を描くFAB工程と最終的に製品として完成させるパッケージング工程の間で実施されます。 すなわち、電気的特性検査を通じて個々のチップが意図する品質レベルに到達しているかを確認する工程で、その目的は次のとおりです。 ウェハ状態の半導体チップの良品・不良品を選別する 不良チップのうち修復可能なチップを良品化する FAB工程や設計で見つかった問題点を修正する 不良チップをあらかじめ選別し、その後のパッケージング工程やテスト作業の効率を高める まず、電気的特性検査を行い、各チップが目指す品質レベルに到達しているかをチェックします。 その後、良品であるかどうかを判断し、修復(Repair)可能なチップは再度良品にして、不可能なチップは特定表示(Inking)により不良と判定します。 不良と判定されたチップはその後の工程から除外されるため、作業効率を上げることができます。 EDS工程は、半導体の歩留まりを高める上で必須の工程です。 歩留まりとは、ウェハ1枚に設計されたチップ(Chip)の最大個数に対して生産された良品(Prime Good)チップの個数を百分率で計算したもので、半導体の生産性に直結します。 EDS工程は、プローブカード(Probe Card)にウェハを接触させて実施します。 プローブカードにある多数の微細なピン(Pin)がウェハに接触して電気を送り、その信号を通じて不良チップを選別します。

リンク先▷[半導体用語辞典] 歩留まり

EDS工程の4段階 EDS工程には細かい段階がいくつもありますが、大きく分けると4段階があります。
EDS2
EDS2

第1段階-ET Test & WBI(Electrical Test & Wafer Burn In) ET Test(Electrical Test)は、半導体集積回路(IC)の作動に必要な個別素子(トランジスタ、抵抗、コンデンサ、ダイオード)に対して電気的直流電圧、電流特性のパラメータをテストし、作動するかを判別する過程です。 半導体チップ(Chip)で行う最初のテストといえます。 次のWBI工程(Wafer Burn In)は、ウェハに一定温度の熱を加えた後にAC(交流)またはDC(直流)電圧を印加して、製品の接合や弱い部分など潜在的な不良要因を見つけ出します。 製品の信頼性の向上に効果的な工程です。 第2段階-Hot/Cold Test Hot/Cold工程では、電気信号を通じて、ウェハ上の各チップの中に不良品があるか判定します。 修復可能なチップは、修復工程で処理できるように情報を保存しておきます。 このとき、特定の温度で正常に作動するかを判別するため、常温よりも高い温度と低い温度のテストが並行して行われます。 第3段階-Repair/Final Test Repair工程は、EDS工程で最も重要な段階です。 Repair工程では、Hot/Cold工程で修復可能と判定されたチップを修復し、修復が完了したらFinal Test工程で正しく修復されたかを再度検証して、良・不良を最終判断します 第4段階-Inking Inking工程は、不良チップに特殊なインクで印を付け、肉眼でも不良品を識別できるようにする工程です。 Hot/Cold Test工程で不良と判定されたチップ、Final Test工程で再検証の結果不良として処理されたチップ、そしてウェハ上の未完成の半導体チップ(Dummy Die)などを区別します。 以前のInking工程では、不良チップに直接インクで印を付けていましたが、現在ではDataのみで良・不良を判別できるように処理しています。 このように処理された不良チップは組立工程には進まないので、組立てや検査工程で使用される原料や資材、設備、時間、人員などのロスを減らす効果があります。 Inking工程を終えたウェハは、乾燥(Bake)後にQC(Quality Control)検査を経て、組立工程に移ります。 半導体が完成するまでの過程は、残りあと少しです。 次回は、半導体チップを機器に搭載できるよう適切な形にするパッケージング(Pakaging)工程についてご紹介します。