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低消費電力半導体

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ここ数年、世界各地で異常気象が発生しています。 今年の夏も例外ではありません。 米国とカナダでは50℃近い猛暑となり、英国やドイツ、中国では豪雨で街が冠水したりしました。 このような異常気象の主な原因は、温室効果ガスの排出による「地球温暖化」です。 今回の#半導体勉強会第8弾では、最高の電力効率を実現し、地球温暖化を遅らせる「低消費電力半導体」についてご紹介します。 使用量の増加につれ、ますます熱くなる「データセンター」と「地球」
使用量の増加につれ、ますます熱くなる「データセンター」と「地球」
使用量の増加につれ、ますます熱くなる「データセンター」と「地球」

5Gや人工知能、モノのインターネットなど技術が急速に発展し、YouTubeやOTTなど動画配信プラットフォームの利用が日常化したことで、膨大な量の動画と写真が「データセンター」に保存されています。 データを処理・保存し、消費者に円滑なサービスを提供するために、データセンターは24時間フル稼働する必要があります。これは大変な量の「電力」を必要とします。 また、データセンターの稼働に必要な電力のほかにも、休まずに稼働を続けるデータセンターの熱を冷却するための電力も必要です。 このような電力使用の増加は地球温暖化を引き起こす温室効果ガス排出の主な原因であるため、データセンターの電力消費を最大限減らすことが世界的な課題となっています。日々増加するデータセンターの電力消費の解決策として注目されているのが、今日紹介する「低消費電力半導体」です。 消費電力と熱の発生が少ないため、データセンター全体の電力効率を最適化できる利点があります。 環境に優しいソリューション「低消費電力半導体」
環境に優しいソリューション「低消費電力半導体」
環境に優しいソリューション「低消費電力半導体」

従来のデータセンターサーバでは、データ保存のためにHDD(Hard Disk Drive)を主に使っていました。 その後、2000年代に登場したSSD(Solid State Drive)は、HDDより優れた性能も備えつつ、消費電力と発熱が少ないという長所があり、HDDに代わる最適なデータセンターソリューションとして位置づけられました。 しかし、人類が作り出すデータ量は大変なスピードで増加しており、2025年に蓄積されるデータ量は、2018年までの累積データ量に比べて5.3倍も多い175ZB(ゼタバイト)に達すると予想されています。 そのため、データセンターにおける電力効率の重要性はますます高まっています。

*ゼタバイト(ZB): データの情報量を表す単位。 10の21乗を意味する接頭語ゼタ(zetta)とコンピュータのデータ量を表示する単位であるバイト(byte)の合成語

これを受け、サムスン電子半導体はSSDの電力効率を最大限に引き上げるために取り組んでいます。 SSDの動作時に無駄に消費する「余剰電力」を見つけ出し、温度変化をモニタリングすることで発熱をできるだけ抑える技術も、現在開発中です。 このような取り組みの一環として、2021年2月には、データセンター専用の高性能・低電力SSD「PM9A3 E1.S」を発表し、3月には業界で初めてhigh-kメタルゲート(High-K Metal Gate、以下HKMG)工程を適用し、低電圧でも高性能を実現できるDDR5モジュールを披露しました。 また、5月にはDDR5 DRAMモジュールの性能を最大化し、電力使用は最小限に抑えるパワーマネジメントIC(PMIC)を3種類発表しました。 「低消費電力メモリー半導体」で減らせるデータセンターの電力量はどのくらい?
低電力メモリー半導体」で年間計7TWhの電力節減
低電力メモリー半導体」で年間計7TWhの電力節減

2020年に出荷された世界のデータセンターサーバ用HDDをすべてSSDに置き換えると仮定した場合、年間で削減できる電力量は3TWh(テラワット時)になります。 さらに、2020年に出荷されるサーバのDRAMを従来のDDR4から最新型のDDR5にアップグレードすると、追加で削減できる年間電力量はおよそ1TWhです。 また、その結果として、サーバを直接稼働する電力のほかにも、熱を冷却するエネルギーやデータセンターの全般的な運用設備にかかる電力も3TWh削減できます。 これらをすべて合わせると、削減できる年間電力量は7TWhになります。 これは、老朽化した発電所2.5基分を代替できる電力量です。 このように、低消費電力半導体を使えば、エネルギーを大幅に節約でき、それによって温室効果ガスも排出量も減らせることがわかります。

*ワット時(Wh): 電力量の単位。 電力量は、電力と時間の積で求められる。電力の単位であるワット(W)と時間(h)を掛け算したワット時(Wh)で表記

ここまで、優れた性能と電力効率で地球温暖化を遅らせる「低電力半導体」について見てみました。 サムスン電子は2009年の「グリーンメモリー」キャンペーンをはじめとして、毎年進化した低電力半導体製品を発表してきました。 今後も持続可能な未来に貢献するために取り組んでまいります。 今回の内容はいかがでしたか。また次回の#半導体勉強会でお会いしましょう。