サムスンのモバイルプロセッサ、Exynos 7デュアル7270

モバイルプロセッサ

Exynos 7 Dual (7270)
ウェアラブルデバイス向けプロセッサ
サムスンのExynos 7デュアル(7270)は、ウェアラブル産業に新たなパラダイムを提示するウェアラブルデバイス専用プロセッサです。 Exynos 7デュアルは、最先端の14nm FinFETプロセスをはじめ様々な接続機能を備えた内蔵型LTEモデム、64ビットのデュアルコアCPU、メモリー、パワーICのすべてを小さなパッケージに収めました。 それは、強力な性能や駆動時間の長いバッテリー、スリムなデザインが求められるウェアラブルデバイスにとって完璧な選択です。
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SiP-ePoPパッケージ

超小型パッケージの中に驚きの技術
いくら強力なプロセッサでも大きすぎれば、サイズ感が大切なウェアラブルデバイスに採用されません。 こうしたニーズに応えるため、Exynos 7 Dualは最も革新的なパッケージング技術で生産されました。 SiP-ePoPには、厚みを約30%薄くした小さな10×10mmのパッケージの中に、プロセッサをはじめメモリー(DRAM & eMMC)やパワーICが含まれています。
1) SiP-ePoP(Sip:System-in-Package, ePoP:embedded Package on Package)
2) 以前のモデルと比較した結果です。
Infographic describing 30% Slimmer Z-Hight スマートウォッチを横から見た様子。
単純に考えれば、バッテリー寿命を延ばすには、より大きいバッテリーを使えば済みます。 ただ、スリムなウェアラブルデバイスの場合、ほかのチップが占めるスペースを減らさなければ、バッテリーのための空間を確保することができません。 これまでメインプロセッサとパワーICを統合するのは、性能を不安定にさせる熱が生じる恐れがあり、不可能と思われてきました。 また、NAND型フラッシュメモリーは熱に非常に敏感なため、温度の高い部品と一緒にパッケージ化したり、そのような部品の上に積んだりするのは 困難でした。

サムスン電子は、不可能と思われていた状況で、SiP-ePoPという新たなパッケージング技術を開発しました。 サムスン電子は2015年、特殊な耐熱属性を利用してNAND型フラッシュメモリーをモバイルプロセッサと統合するePoPパッケージングを開発しました。 そして今回、電力効率に優れた14nm FinFETプロセス基盤のモバイルプロセッサとウェアラブル専用のパワーICをSiPパッケージング技術で統合することに成功しました。 SiP-ePoPにより、Exynos 7デュアルは、一つのパッケージにすべての部品を まとめています。
Infographic describing ePop and SiP-ePoP

14nm FinFETプロセス

充電は短く、着用は長く
最先端の14nm FinFETプロセスを採用したExynos 7デュアルは、28nmプロセスを使用した前製品より電力効率が20%向上し、ウェアラブルデバイスの使用時間を延長しました。
フル充電されたバッテリーが画面に表示されているスマートウォッチを正面から見た様子。
サムスンの14nmプロセスは、以前のプロセスの平面構造とは異なり、FinFET構造を利用します。 平面構造ではゲートがトランジスタの一つの面にのみ付いていますが、FinFET構造ではゲートがチャネルの3面に付くため、平面よりも電流の漏れを効果的に制御することができます。 また、平面構造では電子がゲートの下の面を通じてのみソースからドレインに移動できますが、FinFET構造では電子が魚のひれ(Fin)の形をした3D構造の3面を通じて移動できます。 さらに、14nmプロセスはゲートが短く、ソースと ドレインの距離が縮まって電子の移動距離が大きく減るため、トランジスタはより速くオンとオフを切り替えることができます。 つまり、チャネルを道路に例えるなら、より短い車線が増えたことになります。 短い経路が増えて以前より多くの電子がチャネルを通じて速く動けるようになり、性能を向上することができるのです。
Illustrative image of Planar and 3D FinFET

LTEモデムと接続性

いつでも、どこでも、維持できるネットワーク接続
Cat.4 LTEモデムが内蔵されているため、ウェアラブルデバイスは常に独立したデバイスとしてネットワークに接続され、Wi-Fiでスマートフォンにテザリング(tethering)して使用することも可能です。 また、FMラジオとGNSSソリューションが内蔵されているため、ラジオや位置情報サービスを提供することができます。
Phone UI with Phone icon FM Radio UI with FM Radio icon Message UI with Message icon GNSS UI with GNSS icon サムスンのExynos 7デュアル7270、LTEモデムおよび接続性

リファレンスプラットフォーム

手軽で速くなった製品開発
サムスンがディスプレイ、NFC、オーディオコーデック、複数のセンサー、センサーハブなど様々な構成要素を含むリファレンスプラットフォームを提供しているため、製品の発売までにかかる期間を短縮できます。 サムスンがディスプレイ、NFC、オーディオコーデック、複数のセンサー、センサーハブなど様々な構成要素を含むリファレンスプラットフォームを提供しているため、製品の発売までにかかる期間を短縮できます。
スマートウォッチの文字盤を近くで見た様子

仕様

  • CPU
    1.0GHzデュアルコア(Cortex®-A53)
  • GPU
    Mali™-T720 MP1
  • プロセス
    14nm FinFETプロセス
  • ディスプレイ
    最大qHD(960x540)対応
  • LTEモデム
    LTE Cat.4 150Mbps(DL)/
    50Mbps(UL)
  • 接続性
    WiFi、FMラジオ
  • GNSS
    GPS, GLONASS, BeiDou
  • PMIC
    SiP-ePoPパッケージに内蔵
  • ストレージ
    eMMC 5.0, SD 3.0
  • メモリー
    LPDDR3
  • カメラ
    5MP 30fps
  • 映像
    HEVC(H.264)、VP8コーデックを利用したHD 30fpsエンコーディングおよびデコーディング
  • パッケージ
    SiP-ePoP, 10×10mm
  • *本文書に記載された製品の特長、構成品、性能、可用性および機能、ここに記載のないすべての機能、仕様とその他の製品情報は、予告なく変更されることがあります。