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高度なヘテロジニアスインテグレーションで限界の先に

この記事は、サムスンファウンドリフォーラム2022の基調講演を基にしたファウンドリービジネスに関して掘り下げたシリーズの一部です。これは最新のファウンドリーソリューションと技術に関する専門家の意見を共有するものです。

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高度なヘテロジニアスインテグレーションは別々に製造されたチップコンポーネントを単一のアセンブリレベルに統合する、工程を簡素化し改善する方法です。高度なヘテロジニアスインテグレーションを習熟する半導体チップ生産業界における改善で重要な点は、生産工程の効率と性能を著しく改善でき、少ない作業で多くの成果を得るということです。2022年のサムスンファウンドリフォーラム(SFF)で、サムスンファウンドリーの事業開発を統括するMoonsoo Kangが説明したとおり、サムスンファウンドリーはその実行に焦点を当てています。 Kangは高度なヘテロジニアスインテグレーション用に自社のロードマップを詳しく説明するため、フォーラムでのプレゼンテーションを行ないました。サムスン電子の「ムーアを超えて」手法に基づくメッセージとともに、Kangはまた、参加者に、水平および垂直統合における新規イノベーションに能力を与える高度なパッケージ技術を詳細に話しました。I-Cube、H-Cube、X-Cubeです。 以前のアプローチ 「モア ムーア」と「モア ザン ムーア」 講演の開始で、Kangは半導体チップ開発の以前の時代で支配的だった統合手法、すなわち、「モア ムーア」手法と「モア ザン ムーア」手法を再検討しました。両方とも技術者のゴードン・ムーアが1965年に行った予測に関連して命名されており、その予測は2年ごとにチップ上のトランジスタ数が倍増するというもので、「ムーアの法則」としても知られています。 Kangが説明した「モア ムーア」手法はシリコン上のトランジスタと相互接続を絶え間なく微細化に努めるもので、それによりコンピューティングとエレクトロニクスにおける革命が可能でした。しかし、コンピューティング能力への要求が急上昇するにつれ  - 工程に、より多くのトランジスタが必要となり - 「モア ムーア」手法は限界に達しました。単一のチップ内にできるだけ多くの機能を収めることは、経済的で実用的となりえます。しかし、フォトリソグラフィ手法 - 光を使って基板に材料を付加する手法 - を使って同時にプリントできる最大のレチクルサイズに業界が達したため、高性能チップ向けの単独のソリューションとして、スケーリングのみに頼ることはできません。 対照的に「モア ザン ムーア」手法は、要求される幅広い機能に一番適合する専門分化したチップアーキテクチャを作成しようと努めます。確かに効果的ですが、いつも経済的であるとは限りません。 明らかな違いにもかかわらず、Kangが主張したのは、「モア ムーア」と「モア ザン ムーア」は、補完的な可能性を有しているということです。このことを念頭に置いてKangとサムスンファウンドリーのチームは第3の道を追求してきました。「ムーアを超える」 Kangの説明では、両方の世界を最大限に達成するよう試みたこの手法、そしてその鍵は、高度なヘテロジニアスインテグレーションです。 「ムーアを超える」と高度なヘテロジニアスインテグレーションの役割
「ムーアを超えて」を通じて、ヘテロジニアスインテグレーションは開発費の増大を緩和し、性能をアップすることができます。 「1枚のチップにさらに機能が追加されるにつれ、ムーア状のスケーリングにもかかわらず、ダイのサイズが大きくなります」とKangは述べました。大きなダイをより小さいチップレットに分割し、各チップレットに最適な工程を施すことで、全体の歩留まりを改善し、製造コストが減少することを期待します。 顧客はチップレットの再利用の利点もまた検討してきました。チップレットとして製品内のIPのほとんどを再利用し、それから除外されたエリアのみ再設計し、ヘテロジニアスインテグレーション技術を使ってそれをすべて組み合わせると結果的にかなりの時間とコストの削減になります。 更なる性能改善の可能性も調査しています。 「従来の2D設計を用いると、設計ブロック間の信号経路は数ミリメートル長になる可能性があります。しかし、3Dインテグレーションを用いると、一枚のチップはもう一枚のチップの上に直接重なります。そこで、これらの経路は数マイクロメートルまで短くなり、大幅に遅延が減少します。加えて、3Dインテグレーションでの相互接続ピッチがさらに微細になると、驚異的に高い帯域幅が可能となり、さらに高性能になります」とKangは説明しました。 ファウンドリーの未来に向けた3つのCube 「ムーアを超えて」手法とヘテロジニアスインテグレーションでのファウンドリーの試みから発生した技術について、Kangは引き続き見解を述べました。これらの高度なパッケージ技術 - すなわち「Cube」 - は、水平と垂直統合の2つの軸に基づいた3種類があります。I-Cube、H-Cube、X-Cubeです。
I-Cube I-Cubeは2.5Dソリューションで、インターポーザの上部に水平にチップを配置します。顧客が必要とする高いコンピューティング性能を発揮するさらに大きいインターポーザサイズをI-Cubeの顧客は要求していると、Kangは説明しました。  これに対応するため、サムスン電子は2つのタイプのI-Cubeを提供します。I-CubeSとI-CubeEです。 「最新のI-CubeSの発展型として、I-CubeS 8はシリコン製のインターポーザを使用し、8個のHBMと2つのロジックダイを収納するために3倍のサイズのレチクルという特徴があります」とKangは詳しく話しました。 一方、I-CubeEは、エンベッディッド(組み込み型)シリコンブリッジダイを表しており、大型インターポーザ向けにさらに費用効果の高いオプションです。 「2025年の大量生産に向けてI-CubeEが最大12個のHBMを統合できるようにも、そのサイズを拡大する予定です」 H-Cube H-Cube - もう一つの2.5Dソリューション - はハイブリッドCubeを表しています。このソリューションは現在業界に立ちはだかるユニットプリント基板(PCB)の深刻な不足に対応するため、設計されました。 「大型ABF基板をより小さなABF基板やFBGA基板とより大型のHDI基板の組み合わせに変換することで、当社は顧客に、素晴らしい特徴と低いパッケージ価格、容易なPCB SCMを有する高度なPCBソリューションを提供することができます」とKangは説明しました。 X-Cube X-Cubeはフル3Dソリューションで、チップの垂直積み上げが可能です。 「X-Cubeには2つの異なるタイプがあります。2つの垂直に積み上げたダイがマイクロバンプにより結合してタイプと、バンプのないCu-Cu直接結合しているタイプの2種類です。2024年にはマイクロバンプ型X-Cubeの、そして、2026年にはバンプレス型X-Cubeの大量生産を始める予定です」とKangは話しました。 Kangは自社のCubeソリューションのすべての拡大とさらなる開発に向けたロードマップを説明し、そのうちのいくつかは今年に新規商用版となります。 「サムスンファウンドリーのCubeはさまざまな顧客のニーズや用途を満足させる柔軟性のあるアーキテクチャを提供します」とKangは話しました。 シームレスなエコシステムのその他の進歩と成長
Cubeソリューションを超えて、Kangはサムスンファウンドリーが注目してきたその他の技術と進歩、すなわち、結合スタックキャパシター(ISC)の開発とサムスンメモリ部門との緊密な協業について詳細に述べました。この協業はある新製品に焦点を当てています。それは、次世代の高性能コンピューティング(HPC)デバイスに対応するためのバッファーダイなしのロジックダイ上の直接3D積層DRAMです。 Kangの最後のテーマは、事業のエコシステムに対してKangが非常に大切と革新しているものでした。 「サムスンファウンドリーの従業員は当社のパートナーと強いファウンドリーエコシステムを築くために、とても一生懸命働いてきました。『ムーアを超えて』に向けた当社のエコシステムには、設計ソリューションパートナー(DSP)、IPベンダー、EDAパートナー、OSATやさらにPCBサプライヤーのように多くの数のパートナーが含まれます。当社のエコパートナーと緊密に協業することで、たくさんの様々なビジネスモデルと顧客のニーズに応じて、高度に柔軟な方法でシームレスなサポートを提供します」とKangは強調しました。 「半導体業界の関係者は多くの課題や制約に、現在、直面しています。しかし、同時に、これはきたる多くの課題とイノベーションとともにとてもわくわくする瞬間です。サムスンファウンドリーは、新しい未開拓の領域へのこのわくわくする道のりの中で、信頼され価値のあるパートナーとなる準備ができています」とKangは締めくくりました。