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[寄稿] サムスンメモリーの革新、無限の可能性を切り開く

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技術の発展は社会の変化の中で変化をチャンスと捉え、成功への意志と粘り強さを持っている人が作り出す革新の結果と言えます。 サムスン電子のメモリーが歩んできた道も執念を燃やした技術革新への道のりでした。 そうした中で1993年から30年間にわたって「グローバルNo.1のメモリーソリューションプロバイダー」の座を守り続けています。 パラダイムシフト、新しく切り拓くメモリーの未来 メモリーの主なアプリケーションが、PCとモバイルからデータセンターへ変わりました。 そして、最近は超巨大AIがメモリーの新なたなアプリケーションとして急浮上しています。 特に、PCやスマートフォンのようにユーザーのデバイスでAIが具現できるオンデバイスAI(On-device AI)が拡散されるにつれ、メモリーのアプリケーションはさらに拡大すると見られます。 このような流れの中で、メモリー半導体に対するニーズも変化しています ハイパースケーラー*が提供するAIサービスの種類が多様化し、それにふさわしいサービスを提供するため、膨大なデータを速やかに処理しながら、TOC(Total Cost of Ownership)も削減できる高性能・高容量・低消費電力のメモリーが求められています。 同時に、ハイパースケーラーのニーズに合わせた、差別化されたメモリーが必要となりました。 *ハイパースケーラー(Hyperscaler): 大規模データセンターを運営する企業 また、データが急増するにつれ、メモリー本来の機能であるデータの保存だけでなく、演算機能も求められメモリーの役割は拡大しつつあります。 つまり、CPUとGPUのデータ処理を分担する新しいメモリーソリューションが必要です。 明日への革新、限界を超えるメモリー メモリー事業は、同じ面積のウェハ内でさらに大容量のチップをよりたくさん作ることができるように集積度を上げ、先端生産施設で規模の経済を獲得して原価競争力を確保することが非常に重要です。 これまでのPCとモバイル時代には、メモリーの需要はセット製品の「部品表コスト(BOM Cost)」に大きな影響を受け、この「部品表コスト」中心の需要決定構造が続いてきたからです。 絶え間ない変化の中で、サムスン電子は高付加価値製品の供給と原価競争力の確保という相反する2つのニーズを同時に満たすため、地道にメモリー事業の方向性を探ってきました。 答えは意外と簡単なものでした。 サムスン電子はこれまで30年間、顧客が求める製品を提供するという責任感を持って業界をリードして来ました。この原則が有効であることに今も変わりはありません。つまり、優先順位に前後はあるものの、顧客は基本的に高性能・高容量・低消費電力・パーソナライズ・原価競争力を備えた製品を求めるため、私たちはこれらの要素をすべて満たす製品を開発しなければなりません。 もちろん、これは簡単なことではありません。 しかし、サムスン電子は、▲限界に挑戦する技術革新、▲先端プロセスかつ高付加価値製品の生産比重の拡大、R&D投資の強化、▲顧客、パートナー企業との強固な協力関係という3本の柱を軸にビジネスを続けてきました。これからも、これらをさらに強化して業界をリードしてまいります。
まず、DRAMとNAND型フラッシュメモリの集積度を極限まで高め、カスタマイズ製品を含め差別化したソリューションを提案し、新しいマーケットを切り拓いていきます。 圧倒的な技術力で最高レベルの集積度を実現 これから始まる10ナノ以下のDRAMと1000層まで積層したV-NANDの時代には、新しい構造や素材の革新が非常に重要です。DRAMについては、3次元積層構造と新物質を研究・開発しています。V-NANDについては、積層数を増やすと同時に高さは低め、セル間の干渉を最小化するなど業界最小のセルサイズを実現する当社の強みを維持しつつ、さらに高度化していきます。また、V-NANDの入出力(I/O)速度を最大化するために新構造の採用準備を進めるなど、新しい価値を創出するための次世代革新技術の開発を着実に推進しています。 同時に、現在開発中の11ナノ級DRAMは、業界最高の集積度を達成すると期待されています。9世代V-NANDは、ダブルスタック(Double Stack)構造で具現できる最高層数を開発しており、来年初めの量産のための動作チップの確保に成功しました。 傑出した高性能・高容量・低消費電力の技術をすべて満たす主力製品群 最近、サムスン電子は業界最高容量である「32Gb DDR5 DRAM」の開発に成功しました。 今後、高容量DRAMのラインナップを継続的に拡大し、1TB容量のモジュールまで具現できるソリューションへと拡張していきます。さらにもう一歩進み、CMM(CXL Memory Module)など新しいインターフェースを積極的に活用し、メモリー帯域幅と容量を、必要なだけ拡張する未来を夢見ています。 HBMは、AI時代を迎えた顧客に、新たな価値が提供できる核心製品の一つです。2016年に、サムスン電子は業界で初めてHPC向けHBM2を商用化してHBMを本格的に開拓しましたが、それが今日のAI向けHBM市場の礎になりました。そして現在はHBM3を量産しており、次世代製品であるHBM3Eも順調に開発が進んでいます。サムスン電子は今後も、長年にわたる量産経験によって検証された技術力と、様々な顧客とのパートナーシップを積極的に活用し、最高性能のHBMを提供します。また、これらをカスタマイズされたHBM製品まで拡大するなど、最強のソリューションを提供していきます。 低消費電力に特化したLPDDR DRAMはHKMG(High-K Metal Gate)*プロセスを採用し、高性能を実現すると同時に、モジュール型で具現化したLPDDR5X CAMM*2ソリューションとしてPC市場はもちろん、今後はデータセンターへと需要先を拡大していく計画です。 *HKMG(High-K Metal Gate): リーク電流を最小化するために金属素材の新物質をゲート層に適用する技術 *CAMM(Compression Attached Memory Module): LPDDRパッケージベースのモジュール製品 新規ソリューションの発掘によりメモリーの無限の可能性を拡大 メモリーのボトルネックを改善するため、データの演算機能をメモリチップの内部またはモジュールレベルで実現するPIM(Processing-in-Memory)、PNM(Processing-near-Memory)技術をHBMやCMMなどの製品に適用し、データの演算能力を画期的に改善すると同時に電力効率の向上に集中します。 サーバストレージも用途に合わせて容量を変え、ペタバイト級に拡大できるPB(Petabyte)SSDをまもなく発売する予定です。 未来に備え高付加価値製品と先端プロセスの生産比重を拡大、R&D投資を強化 サムスン電子は、高付加価値製品と先端プロセスの生産比重を拡大し、超巨大AIなど新たなアプリケーションに対するメモリー需要に適宜対応し、ビジネスの価値を高めることに集中しています。同時に投資も継続し、需要の変動とメモリー製品の長い生産リードタイム(Lead time)を克服するため、メモリーライン運用の高度化を進めていきます。 また、サムスン電子がメモリー事業を始めたキフン(器興)キャンパスに先端の半導体R&Dラインを構築するなど、未来に向けた投資を続けていきます。 顧客やパートナー企業との強い協力関係を構築 顧客やパートナー企業との連携を拡大し、商品企画、技術開発、品質など全般にわたり、新製品や市場を開拓していきます。たとえば、クラウドサービスとセット、チップセット、ソフトウェア企業と一緒に製品スペックを定義する段階からデータ転送速度の遅延の最小化、帯域幅の最大化の実現、画期的な電力効率の向上などに至るまで、次世代システムとアプリケーションに最適化したメモリーソリューションの共同開発を拡大していきます。 それと同時に、DRAMとNAND型フラッシュメモリの革新的(Disruptive)技術に備えるため、素材や設備など、全世界にあるパートナー企業との連携も強化していきます。 未来に向けたサムスン電子メモリーの挑戦 これまでサムスン電子が築いてきた成果や実績は、失敗を恐れない胆力や絶対に成し遂げたいという切実な思い、果敢な挑戦があったからこそ実現できました。 これからの社会はさらに複雑化していきます。IT産業の発展により、さらに様々な製品や新しいサービスが登場するでしょう。このような環境下において、サムスン電子は超一流技術をベースに、絶えざる挑戦と革新を通じて顧客と共に成長し、より良い未来を切り拓いてまいります。 サムスン電子は10月20日に米国・シリコンバレーで開催される「サムスンメモリーテックデー2023(Samsung Memory Tech Day 2023)」で、最新のメモリー半導体技術や製品、未来戦略について紹介する予定です。 サムスン電子のメモリーの技術力が私たちの未来に何をもたらすのか、今回のイベントでぜひご確認ください。