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[SAFEフォーラム2023]サムスン電子ファウンドリ事業部、イノベーションを加速

「この記事は、サムスン電子ファウンドリ事業部のSAFE™フォーラム2023で発表された主要セッションのプレゼンテーションに基づく全2部作シリーズの第1部、SAFEエコシステムのテクノロジーと発展を専門家からの観点で共有します。」

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今年6月28日、カリフォルニア州サンノゼでSAFE™フォーラム2023が開催された。前日、盛大に行われたサムスンファウンドリフォーラム(SFF)2023に続き、サムスン電子ファウンドリ事業部の全世界の顧客とパートナーが業界の重要イベントであるSAFE™フォーラムに集まった。「Accelerate the Speed of Innovation(イノベーションを加速)」をテーマに開かれた今回のフォーラムは、サムスン電子ファウンドリ事業部エコシステムの主なメンバーがテクノロジーの発展状況を共有し、テクノロジーセッションに参加してコミュニケーションの場を開いた。同フォーラムで、参加者はテクノロジーセッションを通じ、業界の最新動向と業界をリードする顧客体験の提供のためのSAFE™メンバーの成果を確認した。 * SAFE™:Samsung Advanced Foundry Ecosystem * SFF:Samsung Foundry Forum
サムスン電子ファウンドリ事業部デザインプラットフォーム開発室長のケ・ジョンウク(副社長)は、歓迎の挨拶で次世代イノベーションを達成するための目標と協業への強い意志など、サムスンファウンドリが作っていくイノベーションの方向性を明らかにした。
ケ・ジョンウクは歓迎の挨拶で「SAFEはすべてのメンバーに恩恵を与える完全な共生エコシステムとして成長した」とし、「サムスンファウンドリ事業部は、顧客とパートナーが次のステップのイノベーションを達成するためのテクノロジーを構築しており、さらに向上された利便性と協業を提供する先端エコシステムを通じて、そのテクノロジーはさらなる発展を遂げていく」と述べた。
SAFE™:ファウンドリの堅牢な根幹 SAFE™ (Samsung Advanced Foundry Ecosystem)は、サムスン電子ファウンドリ事業部とパートナー及び顧客間のシナジー効果を向上させる包括的なエコシステムである。より強力かつ効率的な最先端システム半導体を生産することを目指している。ファウンドリの役割を「Innovation Catalyst(イノベーションの触媒)」として確立した昨年のSAFE™フォーラムに続き、今年のイベントでは業界のイノベーションを加速するための推進力を強調した。 ケ・ジョンウクは「イノベーションの次のフェーズが始まっており、私たちはナノシートのような新しいシリコンテクノロジーを実現するために努力し、最先端ソリューションをより迅速に開発するなどイノベーションの加速化に必要なあらゆる努力を続けていく」と述べた。また、継続的に優れたカスタマーサービスを提供するために欠かせないIP、EDA、OSAT、DSP、Cloudなど、SAFE™の5つの中核要素について詳しく説明した。
IPポートフォリオの拡大 サムスン電子ファウンドリ事業部は、先端ノードと主流ノードのIPポートフォリオの拡大について発表した。サムスンは複数のSAFE™パートナーと顧客向けIPの拡大のため、相当規模の投資を行っている。チップレットベースのハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)関連IPパートナーと多数の高速I/Oを構築しており、複数の主要ノードに対し、Automotive Grade 1及び2の認証を取得している。
EDAの発展 EDAの場合、サムスン電子ファウンドリ事業部では23のパートナーと協力し、すべてのノードにわたって様々なアプリケーションに適した最適なソリューションを実現してきた。現在、サムスンの工程技術において80以上のEDAツールが認証を取得している。また、設計コストが上昇していることにつれて円滑な移行への必要性が高まっていることを受け、各ノード、ファブ、設計をさらに容易に移行するための協力を強化している。 * 抵抗トランジスタロジック回路(RTL):抵抗を入力ネットワークとして、両極性接合トランジスタ(BJT)をスイッチング装置として用いて構築されたデジタル回路の一種 AIエンジンでより簡単に移行できるようにすることでコストを削減する方策が進められており、生成AIは設計のTAT(Turnaround Time)を軽減できる可能性を示している。
DSPとOSATの有意な進展 サムスンファウンドリは、世界中の8つのDSPと協力して設計サービスを拡大している。これらのパートナーは、強固な協力関係に基づき、サムスン電子の顧客に対し、高品質のサービスを提供するために独自の能力を強化してきた。これに加え、サムスンファウンドリは、拡張機能を備えたDSP用のテストチップで、より高品質の製品開発と顧客満足に貢献できる。 * DSP (Design Solution Partner):ファブレスの設計図面をファウンドリの工程に最適化するサービスを提供する会社 また、OSATパートナーと共に2D、2.5D、3Dなど、様々なパッケージテクノロジーを含め、コストパフォーマンスの高いソリューションを提供している。
3DICエコシステム、最先端パッケージ協議体のMDI(Multi Die Integration)アライアンスと3DCODE ムーアの法則が限界を見せている今、業界では次の段階への進化を準備しているが、その中でも3DICエコシステムが重要になっている。サムスン電子は、3DICをネットワーク、HPC、モバイルアプリケーションのような半導体製品の未来として注目している。 サムスン電子は、前日に開催されたSFF 2023で最先端パッケージ協議体のMDI(Multi Die Integration)アライアンスの発足を知らせた。これを通じて、顧客の2.5Dと3Dパッケージ設計がさらに容易になると期待されている。MDIアライアンスには、既存のSAFE™メンバーであるファウンドリ、EDA、IP、Design Service、パッケージを含め、テスト、メモリ、基板に至るまで様々な分野のパートナーが追加で参加する。主なパートナーは、すでにモバイルアプリケーションに活用されているファンアウト(fan-out)パッケージ開発とサムスン電子ファウンドリ事業部のHPC向けI-Cubeの開発に協力している。さらに、マルチダイ統合テクノロジーを通じ、近い将来、様々なカテゴリーのアプリケーションに採用されるX-Cubeが実現される予定である。 * ファンアウト(fan-out)パッケージ:より多くの外部データへのアクセス(I/O)ができるよう、チップ表面に接続が施されているパッケージテクノロジー * I-Cube:シリコンインターポーザ上にロジックとHBMを配置する2.5Dパッケージテクノロジー * X-Cube:ウェハ状態の複数のチップを上に薄く積層する3Dパッケージテクノロジー また、今回のイベントでは、3DCODE規格が発表された。新しい3DCODE規格は、統合環境における設計生成及び分析フローの定義と相互運用性を簡素化し、最先端パッケージテクノロジーを開発するエンジニアに対し、高い生産性と設計繰り返し時間の短縮など、改善された経験を提供する。
ケ・ジョンウクは、協力的なアプローチがより速いテクノロジーの発展と相互の成功を成し遂げるカギであることを強調した上で、サムスンファウンドリの包括的な戦略を明らかにした。「業界は、新しい課題に直面するだろうが、これはチャンスにもなりうる」とし、「私たちはいつもイノベーションを通じて限界を乗り越える方策を見出してきた。そして今こそ力を合わせて次のステップに備えるべき時だ」と強調した。 最先端テクノロジーとソリューション関連プレゼンテーション
歓迎の挨拶に続き、午前中はAnsys、Alphawave、IBMなどの講演者を含めて計4つの基調講演が、午後は2つのテクノロジーセッションが行われた。また、今回のフォーラムでは、40のブースとパートナーによるパビリオンなど、ネットワーキングと情報共有の場が設けられ、参加者の間で活発な交流が行われた。
午後の2つのテクノロジーセッションでは、サムスンファウンドリ事業部設計チーム長のキム・サンユン(常務)が「Advanced Technology and Design Infrastructure(最先端テクノロジーと設計インフラ)」をテーマに発表を行った後、IP開発チーム長のシン・ジョンシン(副社長)が「Advanced Design Solutions for HPC and Automotive(HPCと車載用最先端デザインソリューション)」について説明した。2つのセッションの内容は、このシリーズの第2部で詳しく説明する。 SAFE™フォーラム2023のイベントや基調講演、テクノロジーセッションに対する詳細については、Webページから確認できる。