本文へ移動

FMS 2023:サムスン電子、顧客中心のメモリソリューションでデータ中心時代を切り拓く

  • 共有
サムスン電子は8月8日(現地時間)、米国カリフォルニア州サンタクララコンベンションセンターで開かれた世界最大のメモリー行事の「フラッシュメモリサミット2023(Flash Memory Summit 2023)」に参加した。行事のハイライトである基調講演を通じ、顧客の成功を最優先価値として、製品企画から開発、サービス、事後管理に至るまで信頼できるパートナーとして、顧客の成功を導くためのサムスン電子のビジョンを公開した。 指数関数的に急増するデータと多様なアプリケーションの拡大により、サーバーやデータセンターを運営する顧客のニーズも多様化する傾向にある。これに伴い、サーバーストレージ市場は、電力、スペース、パフォーマンスの面で絶え間ないイノベーションが求められている。特にハイパフォーマンスに対するニーズに対応するための最新技術及びソリューション開発のほか、物理空間の限界により無限に拡張することが困難なデータセンターの環境制約により、ラックの電力制限内で最大限の容量を実装しなければならない課題を抱えている。 言い換えれば、サーバーストレージ技術の限界を超え、イノベーションに成功する過程は、3人の陸上選手が全力を出してフルスピードで走りながらも、呼吸を合わせてゴールラインを同時に通過しなければならない超高難度のスポーツ競技に似ている。サムスン電子がどのようなソリューションで、サーバーストレージ市場の限界を乗り越え、顧客体験を向上させた事例を紹介する。 顧客体験の向上を中心に基調講演と16のテクセッションを実施 今年8月8日から10日までの3日間開催された今回の行事では、サムスン電子米州総括長のハン・ジンマン(副社長)が、「AI時代におけるメモリイノベーション」テーマにオープニングスピーチを行い、続いてメモリ事業部ソリューション開発室長のソン・ヨンホ(副社長)が「顧客体験を向上させる革新的なメモリソリューション(Enhancing Customer Experiences: How Memory Innovation Shape Products and Services)」をテーマに基調講演を行った。 □サーバーストレージ市場の3つの領域の限界を乗り越える製品と技術ソリューション サムスン電子は、冒頭で示したように現在のサーバーストレージ市場が直面している問題について電力、スペース、パフォーマンスの3つに分け、これを解決するためのコア製品と技術を紹介した。 生成AI向けサーバーに搭載、活用されている高い電力効率の「PM1743」SSD、業界最高パフォーマンスのPCIe 5.0 SSDである「PM9D3a」、前例のない集積度を実現した「256TB SSD」がこれに該当する。 また、アプリケーションに応じて容量を変えることで高い拡張性を提供するペタバイト級の超高容量ソリューションPBSSDアーキテクチャ、トラフィックの分離を実現し、単一SSDをマルチユーザーが利用しても、それぞれのバーチャルマシンが事前に割り当てられた帯域幅のみを占有し、これと同時に相互の動作に干渉を起こさないようにすることでストレージのパフォーマンスを維持できるサムスン電子独自のマルチテナントアーキテクチャ技術も公開した。 □顧客体験の向上:AからZまでお客様と全過程で協業 最も注目すべきところは、顧客と全過程で協業することである。サムスン電子は、顧客の成功を支えるため製品の企画段階から開発、量産、運営及び事後管理まで、製品のライフサイクルの全過程を顧客と共に行う。 製品開発完了前の段階で、サムスン電子と顧客のシステム上で円滑に動作するかを検証するための事前評価を行い、量産後は遠隔分析ツールであるテレメトリソリューションを通じ発生する可能性があるトラブルを事前に検知して顧客に知らせ、トラブル状況に敏感かつ実質的に対応する。同日の行事では、サムスンのテレメトリサービスを利用しているMicrosoft Azure(アジュール)のGeneral ManagerのPablo Ziperovich氏が画像演説を通じ、これに対する満足度と今後のパートナーシップに対する期待などを率直に述べた。 ソン・ヨンホ(副社長)は、「これからも顧客体験の向上を最優先価値として顧客とあらゆる面で相互協力し、最適化されたメモリソリューションを提供するために努力していく」と強調した。 このほか、国内外の発表者によるクラウド、AI、オープンソース、セキュリティ技術などの様々なテーマのテクセッションに参加し、サムスン電子のストレージ技術力を披露し、業界の関係者との技術交流を活発に行った。 AI・データ中心時代に最適化された様々なアプリケーションごとのストレージソリューション及び次世代の応用技術を展示 サムスン電子は、今回のFMSでの展示を通じ、サーバー、PC、オートモーティブの多様なアプリケーションごとの最新のストレージソリューションと技術を披露した。 □ 「約2倍の電力効率を誇るサーバー用SSD」のPM1743 PM1743は、昨年FMSで初公開された製品で、業界で初めてPCIe 5.0インターフェースを適用し、前のモデルに比べ、約2倍の電力効率を実現した。ChatGPTのような生成AI分野で本格的に活用される予定だ。 □ 「業界最高のパフォーマンスと電力効率、さらに高い信頼性を提供するデータセンター向けPCIe 5.0 SSD」のPM9D3a PM9D3aは、8チャンネルコントローラベースのPCIe 5.0規格に対応しており、連続読み込みパフォーマンスを前世代の製品であるPM9A3に比べ最大2.3倍改善しており、一時書き込み速度も2倍以上改善し、8TB容量で400K IOPSを提供する。また、60%改善された業界最高の電力効率を提供し、データセンター内のメンテナンスに欠かせないテレメトリ及びデバッグ機能も大幅に強化した。前世代に比べ、25%改善された平均故障間隔(MTBF)は、250万時間を達成しており、顧客がより安定したサービス運営ができるようにサポートする。 ※チャンネル:NANDフラッシュとSSDコントローラ間のデータ入力・出力を並列処理できる基本単位 ※PCIe 5.0:従来のPCIe 4.0に比べ、帯域幅が2倍に大きくなった32GT/sに対応する次世代のPCIe通信規格 PM9D3aは、高容量7.68/15.36TB 2.5インチ規格の製品開発を完了しており、来年上半期中に3.84TB以下の低容量製品から最大30.72TBの製品まで、顧客のニーズに合わせて多様なフォームファクタとラインナップを披露する計画だ。 ※MTBF(Mean Time Between Failure):平均故障間隔 ※IOPS (Input/Output Operations Per Second) □ 「QLC NANDベースの高容量SSD」の256TB SSD シングルサーバーラックの電力と物理スペースの制限内で、最大限にデータを保存するためのソリューションであるQLC NANDベース256TB SSDは、業界最高レベルの集積度を実現した製品だ。1つの256TB SSDは、32TB SSDを8つ積み上げることに比べ、合計電力消費量を約7分1に抑える効果があるのが特徴である。 ※QLC:Quad Level Cell □「ペタバイト級の拡張性」を持つPBSSDアーキテクチャと単一SSD上のマルチユーザーの使用を支えるためのトラフィック分離技術 また、今回の展示では、アプリケーションに応じて容量を変え、高い拡張性を提供するペタバイト級の超高容量ソリューションのPBSSDアーキテクチャ、多数のユーザーが一つのSSDを使用してもパフォーマンス低下やレスポンス遅延の干渉を回避できるサムスン電子独自のトラフィック分離技術も新しく公開した。従来の技術の限界を乗り越えたソリューションを通じ超巨大AI時代に大幅に増加するデータを柔軟に処理できるなど、データセンターの顧客のための差別化されたサービスをサポートできると期待されている。 一方、サムスン電子は、Metaと共同開発中のオープンソースベースのユーザーワークロード制御ソリューション及び標準NVMe specベースのFDP(Flexible Data Placement)ソリューションをデモブースで公開した。FDPは、マルチユーザー環境でユーザーグループ別のデータを分離して保存することで、WAF(Write Amplification Factor)を減少させ、これによりストレージの寿命を延ばしてTCOを節約できる技術である。 今回のFMS 2023では、メモリにおける先進技術及び次世代の製品と技術だけでなく、長年にわたる製品技術のノウハウに基づき、多様な顧客の体験向上に向けて継続的に努力しているサムスン電子の姿を再確認できる。 データ中心時代に繰り広げられる輝かしい機会の海を顧客やパートナーと共に航海していくサムスン電子に期待が高まっている。