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[Tech Day 2022] ハイパーコネクテッド:6G時代への道

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今年のテックデイでのキーノートスピーチで、モデム開発チームのバイスプレジデント、Jungwon Lee(副社長)は5G技術の最初の展開から6G携帯電話回線接続性の出現までの、接続性技術の進化概要について話しました。 LeeはさらにWi-Fi技術の歴史とWi-Fi次世代であるWi-Fi 7で必要とされる技術的能力と性能についても言及しました。 5Gと6G時代への接続性技術5Gの最初の展開 5Gの最初の展開は2段階必要であり、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)が先頭を切りました。各段階では無線技術仕様開発が関係します -- 非スタンドアローン型アーキテクチャに続いて2018年6月にスタンドアローン型アーキテクチャになりました。 2018年8月に商用展開が準備完了となると、サムスン電子は業界初の5G NR準拠モデムである、Exynos モデム5100をサムスン電子最初の5GスマートフォンであるGalaxy S10 5Gで使用しました。 5Gの導入は業界を変容させました。LTEとは異なり、「5GはSub6ギガヘルツとmmWaveの両方をサポートするスケーラブルの直交周波数分割多重方式(OFDM)技術を利用します」とLeeは話しました。これは、この技術がLTEの時代に可能であった周波数帯よりも広い周波数帯に対応できるということです。さらに、OFDMシンボルが短くなることで低遅延度が可能となり、新規のmmWave周波数帯の使用で劇的にスループットが増大しました。 さらなるメリットとして、Leeは5Gによる性能への影響を強調しました。「5G技術は、低密度パリティ検査符号(LDPC)やポーラー符号などの新しいチャネルコーディングシステムにより性能が大きく向上しました」とLeeは話しました。 6G技術の出現 6G対応技術はそこまで来ていて、Leeはその開発を推進するいくつかの重要な側面を強調しました。
Beyond 5G and 6G
Roadmap and Target
Samsung's expected 5G and 6G technology development roadmap
Samsung's expected 5G and 6G technology development roadmap
Performance comparison between 5G and 6G judged by Samsung
Performance comparison between 5G and 6G judged by Samsung
5G技術がより高い周波数帯を可能にし、mmWave周波数帯の導入を導いたのと同様に、6Gはさらなる周波数帯、アンテナ、周波数を活用します。実際には、「100GHzから10THzまでのテラヘルツ帯の使用が予測されます」とLeeは話しました。これにはメリットと課題があります。たとえば、テラヘルツ技術の主要メリットは豊富な帯域幅とコンパクトなアンテナアレイです。しかし、この本格展開の主要な障害は無線周波数集積回路(RFIC)、トランシーバー設計、カバレッジです。
Samsung's 6G technology covers a wider bandwidth and area coverage with more spectrum and more antennas.
Samsung's 6G technology covers a wider bandwidth and area coverage with more spectrum and more antennas.
テラヘルツ周波数に加えて、「7GHzから24GHzまでの周波数を構成するアッパーミッドバンドは6Gのカバレッジに対する重要なアンカーとしての役割を果たすでしょう」とLeeは話しました。しかし、アッパーミッドバンドはSub6ギガヘルツ技術と比較可能なカバレッジを維持するために、それでもまだ拡張した技術が必要となるでしょう。周波数帯の最高端での6Gカバレッジの課題は高性能アンテナのさらなる開発をうながし、これは3つの主要素子から構成されるとLeeは考えます。ラージインテリジェントサーフェス、ラインオブサイト(LOS)マルチインプット、マルチアウトプット(MIMO)、ウルトラマッシブMIMOです。 ラージインテリジェントサーフェスはプログラム可能なメタサーフェスを使用して良好なチャネル環境を生成します。LOS MIMOはラインオブサイトのシナリオであっても空間マルチプレックスを達成し、一方、ウルトラマッシブMIMOはgNB側からデバイス側に能力を拡張します。これにより、テラヘルツ範囲などの短い波長による高い周波数の受信で、より短いアンテナが必要となります。
さらに、効率性が増加すれば全二重通信システムが必要になります。5G技術で見られるように5Gアドバンストではすでにこのプロセスが始まっています。しかし、Leeが指摘したように、「ユーザーの機器を含んだ真の全二重は6Gでのみ実現されます」 変調設計についての主要な最終目標は高位相ノイズなどのアナログ回路の深刻な障害を考慮した変調コンスタレーションを設計することです。完全デジタルMIMOと低解像度アナログ-デジタルコンバーター(ADC)とデジタル-アナログコンバーター(DAC)の潜在能力により、業界はベースバンド信号処理を進化させ変調設計を最適化する必要があります。 6Gのもう1つの重要な側面は電力効率です。Leeは、6Gの可能性を最大化するために業界は「ほぼ電力を使用しない通信と環境発電を考慮する必要がある」という事実を強調しました。これを行うためには、AIが主要な構成要素となります。AIはすでに、チャネル状態情報(CSI)、ビーム管理、測位などの目的で5Gアドバンストに統合されています。「しかし5Gとは異なり、AIは6G物理層(PHY)に対するネイティブな技術であると考えられ、すべての層に関わる通信システムの設計に使用されることになります」とLeeは話しました。 物理層でのAIの使用 概要として、AIはインテリジェントモデムを構築するために6G物理層で使用することができ、これは3つのレベルで生じると、Leeは説明しました:
Samsung's 6G technologies with higher intelligence
Samsung's 6G technologies with higher intelligence
  • 制御レベル:AIは通常の信号処理アルゴリズムのさまざまなパラメーターを制御します。
  • ブロックレベル:AIはチャネルコード化、チャネル推定、シンボル検知、ビーム形成、CSIなどのシステムに関する処理ブロックの一部を置き換えることができます。
  • システムレベル:AIは全体の通信システムを構築するために使用できます。
5G時代でのサムスン電子Exynos モデムの技術革新 技術開発への強いコミットメントで、「サムスン電子のシステムLSIはセルラーモデム技術革新の最前線にいます。その最初のLTEモデムから業界で本当に初の5Gマルチモードモデムまですべての時点で」とLeeは話しました。 サムスン電子が2018年にその最初の5Gモデムをリリースしてから、ExynosのベースバンドとRFモデムソリューションはすべてのスマートフォンセグメントに対して商品化されました。サムスン電子は今年、フラッグシップのExynos 2200とExynos モデム5300をリリースしました。どちらも3GPPリリース16準拠です。さらに進んで、「5Gモデムをさらに進化させ続けながら、6G時代へのセルラーモデム技術も革新を続けていきます」とLeeは話しました。 Wi-Fi 7とさらにその先への道Wi-Fi 1からWi-Fi 6Eまでの歴史 Wi-Fiは速い速度とカバレッジ拡張に対応するため進化してきました。シングルキャリアシステムとしてのWi-Fi 1から始まりWi-Fi 2、3、4ではOFDMとMIMO技術を採用するよう進化しました。「単一のアクセスポイントが複数のデバイスにデータを同時転送可能なマルチユーザーMIMO機能を備えていることで」Wi-Fi 5はさらに先のステップに進んだとLeeは説明しました。 Wi-Fi 6は直交周波数分割多元接続(OFDMA)を採用し、複数のデバイスが同時に接続したときでも優れた性能をネットワークが提供できます。Wi-Fi 6の初期製品は2.4 GHzと5 GHzのみの使用が可能でしたが、Wi-Fi 6Eではこれが変更され、6 GHz帯の使用が可能となりました。 Wi-Fi 7とさらにその先 Wi-Fi 7はWi-Fiの次の進化です。Wi-Fi 7は4Kと8K動画、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)などの新しい技術を可能とします。これらの技術での高い要求を満足させるため、「Wi-Fi 7は、4K-QAMと320 MHz帯域幅により、データを最大で毎秒23ギガビットで転送することが可能となります」とLeeは話しました。
Wi-Fi 7はWi-Fi 6の能力の上に構築され、ユーザーは割り当てられたリソースユニットからのみフレームを送受信できます。Wi-Fi 7では、各ユーザーは複数のリソースユニットを使用できます。これにより、「さらなる選択肢が得られ、転送が高速化されます」とLeeは話しました。Wi-Fi 7で新規導入されたマルチリンク動作により、データはさまざまな帯域とチャネルにわたって同時に送受信できます。 業界が未来を見据える中、米国電子電気学会(IEEE)は超高信頼性(UHR)研究グループを立ち上げました。このグループの主要な目標には以下のものがあります:
  • 信頼性の向上
  • 遅延度の減少
  • 管理性の増加
  • 異なったSNRレベルでのスループットの増加
  • デバイスレベルでの消費電力削減
UHR研究グループは複数アクセスポイント連携、仮想基本サービスセット、二次元物理層プロトコルデータユニットをさらなる研究のための候補技術としてすでに考えています。 サムスン電子の接続性技術 現在サムスン電子のWi-FiとBluetoothモデムは世界中のデバイスの能力を高めています。2016年からサムスン電子は4億個を超えるチップをマーケットに供給しこの数は増え続けています。サムスン電子の製品ラインはスマートフォンとタブレットを超えて、ウエアラブルまで広がりました。そしてまもなくさらに多様なデバイスにまで広がります。 次世代の接続性に関して、Leeは次のように話しました。「サムスン電子は今まで可能であったことをはるかに超えて拡大を続け、無線通信の世界を変えます。世界の技術が進化することで、サムスン電子は単にそれとともに進化するだけではなく、さらに前進します」。