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[System LSI Tech Day 2023]基盤技術:システムLSIヒューマノイドの電力効率とセキュリティを実現するサムスンシステムLSI

PMICとセキュリティIC、今後のAI時代の実現に欠かせない役割に期待

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未来技術をめぐる議論で常に登場しているテーマの一つは、人間とデバイスの知能の緊密なつながりに関するものである。近い将来、生成AIと自動運転が現実化すればサムスンシステムLSIヒューマノイドは、このような技術において重要な役割を果たすことになるだろう。一見、興味深い未来ではあるが、このような高いレベルの技術開発にはセキュリティと電力という2つの基本的な観点が欠けている場合が多い。今後デバイス間の情報転送量が指数関数的に増加すれば、データ流出のリスクが高まり、デバイスの電力使用量も大幅に増加することになる。サムスンはシステムLSI Tech Day 2023で、セキュリティと電力の需要に対する対応策について発表を行なった。 より明るい未来のための基盤技術 イノベーションの原動力、PMIC サムスン電子 システムLSI事業部 Security&Power製品開発チーム長 ユ・ファヨル(常務)は、「ハイパーコネクテッドワールドに向けたシステムLSIヒューマノイドとセキュリティの中核要素」というテーマで、システムLSIヒューマノイドが中心になる未来に備え、サムスンシステムLSIが開発しているセキュリティICとPMIC製品及びソリューションについて発表を行った。電力管理集積回路(PMIC)は、動的電圧と周波数スケーリング(DVFS)を通じ最適な電力を提供する。サムスンシステムLSIは、2012年からスマートフォンを始めディスプレイ、自動車、サーバなど、様々なアプリケーションにPMIC製品のポートフォリオを拡大している。 PMICは、SoCに対しエネルギー効率が良く、強力な演算作業を実行できるようにするため、SoC技術において非常に重要な要素である。その結果、システムLSIヒューマノイドはより少ないエネルギーでより多くの作業を実行すると同時に充電速度も向上できる。ユは、演説でシステムLSIヒューマノイド時代を迎えるためのサムスンのPMICラインナップが対応している2つの主要な電力ソリューションについて説明した。 一番目の電力ソリューションは、無線充電に関するものである。様々なPMIC製品のラインナップは、スマートウォッチ、 TWS(True Wireless Stereo )、携帯電話を含む様々なワイヤレス充電アプリケーションに対応している。スマートウォッチのようなウェアラブル製品の場合、システムLSIは、2.2mm x 2.6mmサイズに過ぎないQi規格と互換性のある最大10W級のワイヤレス充電PMICを提供する。 また、サムスンシステムLSIは2020年から有線とワイヤレス充電技術を統合したワンチップTWS PMICを提供している。これに基づき、Qi 2.0規格を満たす新しいハイエンドワイヤレス充電用PMICを開発するために取り組んでいる。 フラッグシップワイヤレス充電PMICのための次世代ワイヤレス充電PMICソリューションは、前の世代に比べメモリがほぼ2倍増加しており、磁気を活用した新しいワイヤレス充電規格であるMPP(Magnetic Power Profile)に対応している。Qiの現在のBPP及びEPP充電プロファイルにも対応する予定だ。さらに、ワイヤレス充電中に充電パッド表面の異物を検知する機能が強化される。同製品は、現在開発中である。 最近のOTTストリーミング、ソーシャルメディア、ゲーム、生成AIアプリケーションなど、様々なサービスが展開されている環境ではデータセンターの支援は欠かせないものである。データセンターではメモリモジュールが動作し続け、モジュールの温度を維持するために大量の電力が必要である。DDR5モジュールは、On-DIMM PMICのおかげで前の世代に比べ、エネルギーを最大30%まで削減できる。 このような驚くべきエネルギー効率を実現させるDDR5の重大な構成要素として、SPDハブとTSが挙げられる。SPDハブは、メモリ周辺コンポーネントにおいてシステム動作に必要な情報を収集し、モジュールのあらゆるチップを制御するハブとして機能する。一方、TSは非常に正確な温度センサーである。いずれも熱放出をむらなく分散し、全体的なシステムコストを削減できるようにする。 データに対するニーズが増加するにつれ高帯域幅のDDR5へのニーズも増加している。サーバ用クロック(Clock)ドライバ及びPCとノートパソコン用のクロックドライバは、コントローラとメモリ間の信号を迅速かつ安定的に転送し、メモリの帯域幅を向上させる。 ヒューマノイド時代のセキュリティ また、ユは、昨今のように世界的に連動しているデバイスの数が指数関数的に増加することに伴い、データ量が膨大に増えている時代には最先端のセキュリティソリューションが不可欠だと強調した。サムスンシステムLSIは高い信頼性とユーザー中心のセキュリティソリューションを提供しており、今後も第4次産業革命のセキュリティ要件に応えるために努めていく予定である。 メモリは、膨大な量のデータを保存するため、セキュリティリスクに脆弱な場合は、データ流出につながる可能性が高い。これを受け、サムスンシステムLSIはICプロセス内に隔離機能を設け、ハードウェアベースのセキュリティ対策を採用したセキュリティメモリコントローラチップを開発している。同チップを採用すれば、すべてのデータはメモリに保存されると同時に完全に暗号化される。 コントローラー内で、隔離された暗号化サブシステムは、暗号化演算とキーに対する攻撃を防ぐと共にシームレスなユーザーサービス提供できるようにする。これは、システムがチップのメインコアに直接接続されているためパフォーマンスやセキュリティが低下しないから可能なことである。ユーザーの立場では安全かつ便利にデータを保存できるトータルソリューションとも言える。データの保存容量が益々限界に近づいている今、安全性と利便性はこれまで以上に重要性を増している。