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【寄稿文】次世代NAND型フラッシュメモリが変える未来

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新型コロナウイルス感染症がもたらした重苦しい日常での中、家族や親しい友人たちと一緒に過ごしていた時間がもっと大切に思える今日この頃である。 スマートフォンに保存されている家族の写真を見たり、SNSに掲載された友達の近況を見ながら笑ったりそして泣いたりする理由は、彼らの存在そのものが我々の人生の原動力であるからだろう。
時間と場所にこだわらず、思い出の瞬間と遠く離れている友人の現在をいつでもどこでも取り出してみることができるのは、スマートフォンやデータセンターに入っているNAND型フラッシュメモリ半導体のおかげでもある。堅苦しい辞書的意味を離れてNAND型フラッシュメモリとは、我々にとって日常の喜怒哀楽を記録しておいた人生の日誌であり、思い出のアルバムでもあるかも知れない。
半導体業界でNAND型フラッシュメモリの開発を担っている技術者として、幸せな思い出が鮮明で長く続くように真剣に悩んでいる我々の努力と、今後の抱負を紹介したい。
サムスン電子 V7 SSD イメージカット
サムスン電子 V7 SSD イメージカット

▲ サムスン電子 V7 SSD イメージカット


未知の3次元垂直構造時代を開拓したサムスン電子
宇宙の歴史を1年に圧縮して考えてみると、人類の歴史はわずか最後の14秒に過ぎず、太陽と地球がその中心にあるのでもなければ、1,700億個以上の銀河系が拡張し続けていると知られている。 このような宇宙の神秘は、半導体にもそのまま表れているようだ。
爪よりも小さな半導体チップを電子顕微鏡で覗いて見ると、その中には一つの都市が存在しているのだ。 1mmの厚さの中に100階以上の建物を建て上げたり、逆に地下へ潜り、数百万個の空間を作りだしてデータを保存しているのだ。
データを保存する用途のNAND型フラッシュメモリは、かつては平面上でチップを小さく具現する2次元構造だった。 しかし、限られた空間に数多くのデータを保存しなければならないため、既存の2次元構造はすぐ限界に直面した。
そこでサムスン電子は苦心のあげく、垂直に積み上げた3次元の空間に穴を開けて各層を連結する製品、いわゆる「V(Vertical)NAND」を世界で初めて開発することになる。
2013年に登場した3次元Vナンドは、当時数十年間に渡って常識とされていた伝統的な2次元方式から完全に離れた新しいパラダイムだった。 平らな敷地に家を建てて暮らしていた人々が人口が増えると共に、マンションを建てて暮らすようになったのと似たような話だ。
サムスン電子だけの名品V-NAND
2013年当時は革新的だった3次元垂直構造のV-NANDは、現在半導体業界の標準として普遍化した技術とされている。
24層から始まったV-NANDの積層数は、現在は200層に近寄っている。 これまでV-NANDは積層数を重ねながら進化し続けて来た。 しかし、ただ積むことだけが全てではない。 仮にマンションを建てるとすると、階数が高い高層マンションだからといって、無条件に名品マンションとは言えないのと同じ話だ。
高いだけあって、丈夫でなければならず、高いほど安全な高速エレベーターを利用して出入りも容易にしなければならない。 階間騒音も考慮すべき問題であり、高度制限があるため、無限に高く建てることもできないのであろう。
V-NANDの場合も全く同じことである。 積層数に違いは無いかも知れないが、その中をよく覗いて見ると細かい違いが見え始めるのだ。 半導体の世界では、この細かい違いがとてつもない結果を生み出している。
業界最小のセルサイズ-圧倒的なシングルスタックエッチングの技術力···「積層数は増やし、高さは低め、干渉は最小化」
再び時を巻き戻して2013年度に戻ってみよう。
サムスン電子は2次元平面構造の限界を克服するために、3次元にセルを積み上げた。 当時は積層数が低かったため、高さへの悩みは必要なかった。 しかし、高集積化、高容量化に対する要求から積層数がますます高くなるにつれ、まるで制約が無いように見えた高さにも、物理的限界を考慮しなければならない状況に至った。
我々は一歩先にこのような悩みを始め、解決策を模索してきた。 サムスン電子の第7世代176層V-NANDは、業界の100層余りの第6世代級V-NANDと比べて高さはほぼ同じである。 これが可能な理由は、サムスン電子が業界最小のセルサイズを具現していたからだ。
3次元スケーリング(3D Scaling)技術により、セルの平面的と高さを両方減少させ、体積を最大35%まで減らした。 セルの体積を減らすことによって生じるセル間の干渉現象も制御している。
すなわち、同じ積層数でもより低く実現することができるので、今後高さの物理的限界を克服できる基盤技術を確保したのだ。
また、業界で唯一に一度で100層以上を積み上げ、10億個以上の穴を開けることができるシングルスタックエッチングの技術力を確保している。 つまり、小さなサイズのセルと圧倒的なシングルスタックエッチング技術力を基盤にして、今後数百層以上の超高層V-NANDを一歩先に実現できる技術力を確保しているのだ。
下半期に第7世代V-NAND··· 200層を超える第8世代動作チップも確保
業界最小のセルサイズの第7世代V-NANDが適用された消費者用ソリッドステートドライブ(SSD)製品が、今年下半期に初めて発売される予定だ。 最大2.0Gbps入出力(I/O)性能の第7世代V-NANDは、第4世代PCIeインタフェース(PCIe Gen 4)だけでなく、今後の第5世代(PCIe Gen 5)までの性能要求値を満足させることと期待されている。 また、第6世代に比べて一層強化された性能で3Dモデリング、映像編集などの大容量ワークロードの作業が同時に処理できる、マルチタスク環境に最適なソリューションを提供する計画だ。
それだけでなく、データセンター用SSDにも第7世代V-NANDを迅速に拡大適用しようとしている。 また、低電力ソリューションを基盤に前世代対比電力効率を16%も引き上げ、データセンターを運営する企業らが電力を減らすと同時に、地球の環境にも寄与できるようにさせる方針だ。
そして、すでに200層を超えている第8世代V-NAND動作チップを確保している現状で、市場の状況と顧客のニーズに合わせて、適時に製品を発売できるように万全の準備を整えている。
微細な技術力の優位こそが結局顧客に差別化された価値を提供し、市場はこれを通じてサムスン電子の技術力をもう一度認めることになると信じている。
サムスン電子のV-NANDの未来、1,000層以上を目指して
半導体産業で偶然は存在しない。 未知の技術を世界で初めて獲得するためには、時間はもちろん、莫大な資本と投資を必要とする。 今日のサムスン電子が忍苦の時間を経て世界1位になったのは、昨日より幸せな日常を実現させたいという情熱と魂、使命感があったからだ。
平面の限界を克服するため、10年以上の長い研究の末に2013年、初のV-NANDを開発させたように、我々は3次元スケーリング技術を通じて、いつか直面するであろう高さの限界を真っ先に克服していくつもりだ。
未来の1,000層V-NAND時代にもサムスン電子のV-NANDは革新的な技術力を基盤に業界最高の信頼性を保つ製品として進化し続けるだろう。
拡張現実の新しいパラダイム、半導体の役割がさらに重要になる
世の中は技術の発達で「拡張現実(XR、eXtended Reality)」の新たなパラダイムに向かっている中、新型コロナウイルス感染症によって拡張現実が日常になる時期はさらに早まっている。 現実と仮想の区分が曖昧になったり重なったりして、生き方そのものが変わる時代に入ったのだ。 今後、IT機器や技術は、これまでとは全く異なるレベルの新しいアプローチ方法を必要とするだろう。 そのための半導体の役割はいつにも増して重要になるという話である。
未来の半導体競争で確実な技術的優位を基盤に革新的な製品を市場へ公開することにより、幸せな社会を実現するために絶えず努力して行くつもりだ。