本文へ移動

サムスン電子、次世代企業サーバ用「ZNS SSD」を発売

  • 共有

サムスン電子は、ZNS(Zoned Namespace)[1] 技術を採用した次世代エンタープライズサーバ用SSDを発売した。 ZNSとは、SSDの保存スペースを小さな一定容量の領域(Zone)に分け、用途や使用周期が同じデータを同じ領域に保存することで、SSDを効率的に活用できるようにする次世代技術である。 一般的なSSDは、内部の保存スペースを分けずに、複数のソフトウェアで生成されるデータを任意の場所に保存している。 また、データの書き込みと削除の単位が異なり、上書きが不可能なNAND型フラッシュメモリの特性から、SSDを使うと有効なデータと不要になったデータ(Garbage)領域が混在し、SSDの保存スペースを効率的に使用できなくなる。 従来のSSDではこれを解決するために有効なデータを他の空間に移して使い、不要になった領域は解放して保存スペースを確保する「ガベージコレクション(Garbage Collection)」作業が必要となるが、この過程で追加の読み取り/書き込みが発生する。 一方、ZNS SSDは用途と使用周期が同じデータを決められた領域(Zone)に順次保存し、領域(Zone)単位で消去するため、ガベージコレクションによる追加の読み取り/書き込みが発生せず、書き込み回数に影響を受ける従来のSSDの寿命を最大で3~4倍延ばすことができる。 さらに、一般的なSSDはNANDチップの性能向上と効率的な管理のために容量の一定部分をOP(Over-Provisioning)領域に割り当てるが、ZNS SSDでは別途のOP領域を割り当てる必要がなく、SSDを最大容量で活用することができる。 サムスン電子が今回発売したZNS SSD PM1731aは、第6世代V-NAND基盤の4TB、2TB容量2.5インチの製品である。 ZNS SSD PM1731aは、ZNSの機能以外にもデュアルポートに対応し、使用中に一つのポートにエラーが発生しても他のポートを利用して安定的にストレージサーバを運用できるように最適化されている。 ZNS SSDは、AIやビッグデータ、IoTの利用拡大により爆発的に増えるデータを効率的に管理できるソリューションとして注目されている。 また、SSDの寿命が延びるのでSSDの買い替え時期が延び、エンタープライズサーバシステムの効率的な運用と、最近話題のESGの観点からもポジティブな効果が期待される。 サムスン電子はZNS SSDの普及のため、様々なオープンソースプロジェクト活動を通じてZNS技術のエコシステム形成に貢献している。 サムスン電子は、オープンソースプロジェクト「xNVMe」を通じて開発者が様々な使用環境でSSDを最適の性能で実装できるよう支援しており、今回ZNS技術も追加して開発者がより容易にZNS技術にアプローチできるようにした。 また、サムスン電子はインテルのSPDK(Storage Performance Development Kit)[2]を使用する顧客がZNSを活用できるようサポートしている。 サムスン電子メモリー事業部ソリューション開発室のチョ・サンヨン専務は、「サムスン電子は差別化されたサーバ用SSD技術を積極的に開発し、SSDの信頼性と長寿命化に寄与している」と述べ、「今後、QLC(4bit)[3]NAND基盤SSDにZNSを適用するなど、エンタープライズシステムが求める最先端技術と容量に応える次世代メモリーソリューションを提供していく」と明らかにした。 サムスン電子は下半期からZNS SSD PM1731aを本格的に量産し、成長するエンタープライズサーバ市場で差別化されたストレージソリューションを提供し、顧客との協力を続けていく方針である。
画像はZNSSSD製品の前面です。
画像はZNSSSD製品の前面です。
三星電子、「ZNS SSD」
三星電子、「ZNS SSD」
斜めに立っているサムスン電子ZNSSSDのイメージです。
斜めに立っているサムスン電子ZNSSSDのイメージです。

▲ サムスン電子、「ZNS SSD」


[1]ZNS(Zoned Namespace): NVM Express®が主管する次世代ストレージ技術で、一般的なSSDで発生する追加的な書き込み動作が発生しないため、性能の向上はもちろん、SSDをより長く使用することができ、保存容量を最大限に活用できるというメリットがある。
[2]SPDK(Storage Performance Development Kit): インテルのオープンソースライブラリで、ストレージシステムの性能向上のための様々な開発ツールを提供する。
[3]QLC(Quadruple Level Cell): NAND型フラッシュメモリは、データの保存方式によってSLC、MLC、TLC、QLCに分類される。 QLC NAND型フラッシュメモリは、1個のセル(Cell)に4ビットのデータが保存できるため、大容量ストレージの実現に適している。